MEDCHEM NEWS Vol.33 No.1
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27AUTHOR 6) Konno, S., et al., Bioorg. Med. Chem., 21, 412‒424 (2013) 7) Thanigaimalai, P., et al., Eur. J. Med. Chem., 65, 436‒447 8) Thanigaimalai, P., et al., Eur. J. Med. Chem., 68, 372‒384 9) Konno, S., et al., J. Med. Chem., 65, 2926‒2939 (2022)参考文献 1) Zhou, P., et al., Nature, 579, 270‒273 (2020) 2) Pardo, J., et al., Drugs Context, 9, 1‒9 (2020) 3) Gelb, M.H., et al., Biochemistry, 24, 1813‒1817 (1985) 4) Sydnes, M., et al., Tetrahedron, 62, 8601‒8609 (2006) 5) Regnier, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 19, 2722‒2727 (2009)(2013)(2013)び東京薬科大学の多くの教員、研究員および学生の協力によって得られた成果である。また、国内外の多くの共同研究者にご協力いただき、筆者らだけでは到底為し得なかった研究成果を上げることができた。本研究に携わった関係者に、この場を借りて厚く御礼申し上げる。林良雄(はやし よしお)1983年 東京薬科大学薬学部卒業1985年 京都大学大学院薬学研究科修士課程修了1986年 同 大学院薬学研究科博士課程退学同 年 カルピス食品工業株式会社入社(研究開発セン今野翔(こんの しょう)2012年 東京薬科大学薬学部医療衛生薬学科卒業2016年 京都大学大学院薬学研究科博士課程修了(博士・ター生化学研究所)1988年 新日本製鐵株式会社入社(ライフサイエンス研究センター主任研究員など)1999年 京都薬科大学講師2001年 同助教授2007年 東京薬科大学薬学部教授2021年 日本ペプチド学会理事(~2022年度)現在に至る薬学)同 年 カリフォルニア大学サンディエゴ校化学・生化学科博士研究員2020年 東京薬科大学薬学部助教現在に至るエンタルピー駆動型(阻害薬) 化合物と標的分子の結合の強さは、ギブスの自由エネルギー(ΔG)で表すことができ、負の値が大きいほどその結合が強いことを意味する。ΔGは異なる項目であるエンタルピー(ΔH)とエントロピー(ΔS)からなるが、ΔGの値がΔHに支配されている化合物をエンタルピー駆動型と呼ぶ。スタチン系医薬品やHIVプロテアーゼ阻害剤では、First-in-Classはエントロピー駆動型で、Best-in-Classはエンタルピー駆動型であることが報告されている。ΔSは疎水性官能基の導入によって容易に向上させられるのに対し、ΔHは強力な水素結合などを形成させる必要があり、向上させることが難しいためである。しかし、エンタルピー駆動型阻害剤は結果として強力な結合活性や選択性を示すことから、良い医薬品となることが多い。 今野翔(東京薬科大学薬学部)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan生体直交化学 種々の化合物や官能基が共存する生体内環境において、生体分子本来の役割に影響を及ぼさずに機能する(=直交性を示す)化学全般を指す。たとえば生体直交型の化学反応には、生理的条件、すなわち水中・常温常圧・中性付近のpH で、有毒な試薬を用いずに高収率で進行することが求められている。金属フリーのクリック反応(アジド-歪みアルキン付加環化反応など)がその代表例として知られている。本反応を用いて細胞中における目的タンパク質や糖を修飾すれば、より本来の生体系に近い環境下におけるそれらの挙動を解明することが可能となる。合成化学領域にとどまらない波及効果を示したことから、2022年ノーベル化学賞に「クリックケミストリーと生体直交化学」が選出された。 金井求(東京大学大学院薬学系研究科)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of JapanCopyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan用語解説用語解説

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