6. おわりに5. ドラッグ・リポジショニングの取り組み10AUTHOR構造を検証、③原薬の製造設備を検証、④原薬製造時の交叉汚染を検証、⑤原薬精製プロセスをロット毎に検証する必要がある。一方、製剤の観点からは、⑥添加物を検証、⑦印刷インクを検証、⑧包装資材を検証、⑨水が含有する不純物を検証、⑩製剤化工程での吸気(大気)を検証する必要がある。 上述の検証を、迅速かつ的確に行って安心、安全な医薬品の供給を行うために、a)東和アミンアプローチ(原薬)、b)東和アミンアプローチ2nd(製剤)、c)東和ニトロソアミンアプローチ(原薬)、d)Nitrosamine Drug Substance-Related Impurities(NDSRIs)モニタリング(製剤)、e)NOxモニタリング(製剤工場)を始動させた。 アンメット・メディカル・ニーズが満たされている疾患がある一方で、依然として病に苦しむ患者さんやその家族が、一日も早く治療薬を手にする日を待ち望んでいる。ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生が見出されたiPS細胞を活用して、化合物探索スクリーニングを実施、長期の忍容性が確認されているジェネリック医薬品のポテンシーを臨床試験で証明することができれば、治療薬を待ち望んでいる患者さんの福音となるに違いない。そこで、京都大学iPS細胞研究所における研究成果の実用化を目的として創設されたタイムセラ社(渡邉敏文 代表取締役社長)と、iPS創薬を目指したドラッグ・リポジショニングに関する共同研究開発契約を2019年8月に締結した。家族性アルツハイマー病治療薬の創製(ブロモクリプチン)を目指した臨床開発研究が、現在進行中である。 今こそ、先発、後発医薬品メーカーを問わず、産官学の区別なくオールジャパンで総力を挙げて独自の強みや差別化の確立に真剣に取り組み、有事の際は袂を連ねて人々に奉仕する姿勢が求められている。“くすりづくり”には、今もなおさまざまな取り組みや技術の進歩が必要とされており、製薬業に携わる私たち研究者は、最新技術の粋を極めた製品化を常に意識して邁進する姿勢を忘れてはならない。 一捻りでは周りの誰もが考えつく。二捻りでも世界の誰かが考えつく。三捻りしたら誰も考えつかない。 差別化した薬剤を手にするためには、四六時中徹底的に考え抜いたうえで、何度でもチャレンジして絶対に諦めない・・理想とする最良の薬剤を手にして社会に貢献するために。内川治(うちかわ おさむ)理学博士1984年 九州大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了同 年 武田薬品工業株式会社入社中央研究所化学研奥田豊(おくだ ゆたか)薬学博士1990年 摂南大学薬学部衛生薬学科卒業同 年 株式会社ニッショー入社医薬品事業部製剤設究所にて新薬探索業務を担当2011年 医薬研究本部化学研究所所長2016年 医薬研究本部サイエンティフィック・フェロー2017年 立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構教授2018年 東和薬品株式会社原薬事業本部長/執行役員2019年 原薬事業本部長/上席執行役員(現任)2021年 大地化成株式会社代表取締役会長(兼任)2022年 TOWA Pharma International Holdings取締役 (兼任)計業務を担当1994年 東和薬品株式会社研究開発本部入社2014年 静岡県立大学薬学部学位取得2015年 製剤技術本部製剤研究部長2017年 基盤技術研究所長/執行役員2019年 基盤技術本部長/執行役員(現任)2022年 三生医薬株式会社非常勤取締役(兼任)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan
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