2. Axcelead DDPの生い立ち179図1 エクスターナルリサーチへのアプローチがともにアイディアを出し合い、議論を通じてともにイノベーションを目指す「共創」を目的とした協業である。日本ではまだあまり例を見ないが、海外では浸透しつつある新たなアプローチである。 これらエクスターナルリサーチは、製薬企業における事業の選択と集中が急速に加速し、固定費から変動費への資本効率化が検討され、研究予算の柔軟な活用や研究生産性の向上が推進されるなか、海外メガファーマを中心に積極的に活用されてきた。そのなかでも、アウトソーシングは年平均10%の市場成長率を維持しており、製薬企業を取り巻く環境が絶えず変化し続けるなか、今後ますますの成長・発展が期待されている。スピードや効率性を重視した活用から、イノベーションを期待した協業まで、アウトソーシングの目的も多様化しており、まさに創薬研究の新たな潮流が育ちつつあるといえるだろう。 このような創薬研究における新たな潮流のなか、AxceleadDDPは、2017年7月に武田薬品工業の創薬研究プラットフォームを継承し、日本の製薬業界では初となる統合的創薬ソリューションプロバイダーとして事業を開始した。創薬に必要とされるスクリーニング、化学、薬理・生物、薬物動態、安全性といった研究機能が一拠点に集約され、幅広い疾患領域において探索研究から臨床開発に至る過程で直面するさまざまな課題に対するソリューションを提供している。 AxceleadDDPが幅広い創薬ソリューションを提供できる背景として、創薬研究に必要な研究技術・機能を幅広く保有している点のみならず、豊富な創薬知識と100を超える臨床試験実施申請(IND)、20を超える新薬承認申請(NDA)に携わった経験を有する優秀な人材がすべての創薬機能に多数在籍している点があげられる(図2)。革新的な医薬品の創製は技術さえあればうまくいく訳ではなく、経験豊富なさまざまな分野の専門家集団が自身の専門領域を越えて連携し、課題解決を図ることによってはじめて成し得るものである。現在のAxceleadDDPの研究者の大半は武田薬品工業をはじめ、国内製薬各社において長年にわたり豊富な創薬経験を積んできた創薬のプロフェショナルであり、創薬研究を進めるなかで生じるさまざまな課題に対して、顧客とも議論を重ねながら最適な解決策を提供している。 もう一点、忘れてはならないのは、膨大な創薬研究データや約150万化合物からなる世界的に見ても業界最大級の質の高い化合物ライブラリといった研究アセットである。我々は、事業を開始するまでの武田薬品工業時代に集積した創薬データにアクセスすることが許可されており、個々の研究者に紐づく技術・知識・経験のみならず、客観的な創薬データを参照し、研究を進めるうえで生じるさまざまな課題に対して解決策を提供することができる。創薬研究は成功確率が極めて低い事業である
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