MEDCHEM NEWS Vol.32 No.4
51/56

MEDCHEM NEWS 32(4)223-225(2022)223図1 ご登壇いただいた先生方図2 優秀発表賞受賞者 2022年度の創薬懇話会は、6月30日(木)から7月1日(金)の2日間にわたって開催されました。当初はJR豊橋駅のロワジールホテル豊橋にて、従来の合宿形式で開催する予定を組んでおりました。前年度(2021年)秋は、新型コロナウイルス感染状況もいったんは落ち着きを見せていましたが、その後のオミクロン株の感染拡大を受け、最終的には2021年度と同様にオンラインでの開催となりました。参加者数は最終的に154名(大学関係者43名、会社関係・研究機関8名、学生103名、うち講師5名、医薬化学部会員44名)となりました。多数のご参加、誠にありがとうございました。 本年度の創薬懇話会の第1日目は、講演の部として、大学から3名、企業から2名の先生にご参加いただき、MicrosoftTeamsを利用して講演を頂戴いたしました(図1)。鳴海哲夫先生(静岡大学大学院総合科学技術研究科)には、「ペプチド・タンパク質の主鎖改変を基盤とする生物有機化学」についてご講演をいただきました。有機合成化学による新合成法の開発を武器として、理論計算も交えて、独自の分子創製を目指す力強い姿をお示しいただきました。長門石曉先生(東京大学医科学研究所)には、「物理化学解析を駆使したProtein-ProteinInteraction阻害剤開発への挑戦」という講演題目にて、ITC(等温滴定熱測定)やSPR(表面プラズモン共鳴)を含め、さまざまな物理化学的解析を用いて、「結合の質」の優れた分子を見出す研究についてご講演いただきました。阿部一啓先生(名古屋大学細胞生理学研究センター)には、「胃酸抑制剤のターゲット・胃プロトンポンプの構造生物化学」という講演題目にて、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析の歴史と原理を含め、胃プロトンポンプと低分子化合物との相互作用を「見る」、構造生物学について詳細にご紹介いただきました。 増本秀治先生(住友ファーマ株式会社)には、「合成経路探索~ルートスカウティング研究~」についてご講演をいただきました。探索研究での合成経路をゼロベースで見直し、続く開発研究に必要なサンプル供給を実現するために、新たな合成経路を見出す研究とその哲学についてご紹介いただきました。阿部博行先生(日本たばこ産業株式会社)には、「MEK阻害薬トラメチニブ(メキニストⓇ)の創薬研究」という講演題目にて、フェノタイプスクリーニングによるリード化合物の取得と構造展開、ケミカルバイオロジー的手法を用いた標的分子同定を含めて、創薬研究の壮大な一連の流れについてご紹介いただきました。 いずれのご講演におきましても、質疑応答では参加者から多数の手が上がり、活発な討論が行われました。時間の関係ですべての質問をお受けすることができず、この場をお借りしてお詫び申し上げます。またご講演いただきました5名の先生方に改めて御礼申し上げます。 創薬懇話会の第2日目は、ポスターセッションを開催しました。44名の発表者が、2会場および前後半に分かれて、Zoomのブレイクアウトルームにて発表を行いました。オンラインでのポスター発表は、工夫次第で現地開催とはまた異なる発表の仕方が可能であると考え、発表形式は限定せず、「画面共有ツールを用いて、多数の参加者にアピールできる発表形式を工夫してください」として、発表の準備をしていただきました。ポスターセッションにおいては、創薬懇話会にご参加いただいた6名の先生方に審査を依頼し、優れた発表を行った4名に優秀発表者を授与いたしました(図2)。 創薬懇話会第1日目の中程に、大和田智彦先生(東京大学大学院薬学系研究科)から、「創薬懇話会2023in湯河原」(2023年6月8日~9日、ニューウェルシティ湯河原)についてご紹介いただきました。来年こそは従来の合宿形式での開催が叶うことを、切に願っております。 最後になりますが、開催にあたりご支援・ご協力いただきました医薬化学部会長の国嶋崇隆先生をはじめとする医薬化学部会の先生方、創薬懇話会の運営と進行にご協力いただいた実行委員の先生方、ポスター発表審査を担当いただきました審査員の先生方、また最終的にはキャンセルとなってしまいましたが開催会場について親身にご助言いただきました高浪絵理様(名古屋大学生協)に、心から感謝申し上げます。「創薬懇話会2022in名古屋」実行委員長横島聡(名古屋大学大学院創薬科学研究科)Copyright © 2022 The Pharmaceutical Society of Japan記事「創薬懇話会2022 in 名古屋」開催報告

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る