MEDCHEM NEWS Vol.32 No.4
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公益財団法人篷庵社MEDCHEM NEWS 32(4)217-217(2022)217 古くから多くの製薬会社がある大阪の道修町に、「少彦名(すくなひこな)神社」があるのをご存知でしょうか。オフィス街のビルとビルの間にある小さな神社ですが、病気平癒・健康成就の社として有名であり、各地から多くの人がお参りに訪れます。最近では新型コロナウイルスの収束を祈願される方もおられるようです。 少彦名神社は通称「神農さん」として親しまれていますが、これは日本医薬の祖神「少彦名命(すくなひこなのみこと)」と中国医薬の祖神「神農炎帝(しんのうえんてい)」がともに祀られているからだそうです。 毎年11月22日・23日には「神農祭」が行われます。「大阪の祭りはえべっさんに始まり神農さんで終わる」と言われるように「とめの祭り」とも呼ばれており、多くの参拝者で賑わいます。 神農祭は、文政5年(1822年)に大阪でコレラが流行した際に、薬種仲間が病除けの薬として「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」という丸薬をつくり、「神虎」(張子の虎)のお守と一緒に神前祈願の後、施与したことに由来するといわれており、現在では五葉笹に張り子の虎と少彦名神社のお札をつけた「張子の虎」を家内安全無病息災のお守として授与されています1)。 神農祭の2日間は露店の出店もあり、昼夜を問わず多くの人がお参りに訪れ賑わいを見せますが、2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響により露店の出店はなく、2021年私が訪れた日は雨だったことも参考文献1)少彦名神社「神農祭」http://www.sinnosan.jp/sinnousai.あり、道修町通は少し寂しい様子でした。しかし神農さんへお参りの際には傘をさしながら列をなす状況で、雨の中でも多くの参拝者がいらっしゃいました。 日本と中国の医薬の祖神が祀られているため、医学部・薬学部・国家試験の合格祈願に訪れる人も多く、飼っているペットの健康も祈願してくださるとか。 私も、家族の健康をお祈りするとともに、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの早期の収束を祈願し、神社を後にしました。 状況が落ち着きましたら、例年以上に賑やかなお祭りが開催されることでしょう。参拝後、食べ歩きができる日が早く来ることを願っています。html(最終閲覧日2022年5月18日)写真1 写真2 石川里香(いしかわ りか)塩野義製薬株式会社勤務2017年より公益財団法人篷庵社事務局に出向 AUTHOR Copyright © 2022 The Pharmaceutical Society of Japan石川 里香Coffee Break少彦名神社の神農祭

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