MEDCHEM NEWS Vol.32 No.3
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NHNNNNNNNNOONNNNONONNONNONNNOONNNOONNNFFNNO7. 最後に128IC50 = 120μM(FGFR3) IC50 = 140μM(VEGFR2)IC50 >5mM(XIAP) IC50 >5mM(cIAP1)図4  フラグメントヒットからTolinapant(ASTX660)まで図3  フラグメントヒットからBALVERSA®(erdafitinib)までIC50 = 6.5μM(FGFR3)IC50 = 0.46μM(VEGFR2)IC50 = 0.16μM(XIAP)IC50 = 0.01μM(cIAP1)IC50 = 0.012μM(FGFR3) IC50 = 0.56μM(VEGFR2)EC50 = 0.0051μM(XIAP) EC50 = 0.00032μM(cIAP1)Tolinapant(ASTX660)EC50 = 0.0028μM(XIAP)EC50 = 0.00022μM(cIAP1)IC50 = 0.003μM(FGFR3)IC50 = 0.037μM(VEGFR2)Fragment HitFragment HitLead moleculeErdafitinibNH2HNHNNH2HNHNNHOHら始まった線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤プログラムでは、ヤンセン社が2008年に加わり見出されたBALVERSA®(一般名erdafitinib)が、成人のFGFR遺伝子異常を有する転移性尿路上皮がんの治療薬として、2019年米国FDAから迅速承認された6)。キノキサリンフラグメントから結晶構造に基づくバーチャルスクリーニングを通して最適化することでin vitro活性が1万倍向上し、過去のシリーズの結晶構造をもとにerdafitinibへ誘導し、好ましい物性、薬物動態プロファイルを獲得した(図3)。バイオテック、アカデミア、製薬企業の複数のチーム間のコラボレーションとオープンイノベーションによりerdafitinibの発見につながった。 ビッグファーマとのコラボレーションを通して成長してきたアステックスは、独自に創薬プログラムを進めることも可能となってきた。フラグメントスクリーニングによりヒットしたフラグメント分子から、150万倍以上活性が向上したアポトーシス阻害因子(IAP)阻害薬tolinapant(開発コードASTX660)の固形がん、リンパ腫を適応症とした臨床開発も進んでいる(図4)7)。他にもがんを適応症とした化合物のいくつかが臨床開発段階に進んでいる。 これまではオンコロジーにフォーカスした創薬を行ってきたアステックスだが、大塚製薬に加わってからは中枢神経領域など他の疾患領域にも挑戦し、FBDD技術参考文献 1) Congreve, M., et al., Drug. Disc. Today, 8, 876‒877 (2003) 2) O’Reilly, M., et al., Drug. Disc. Today, 24, 1081‒1086 (2019) 3) Sader, K., et al., Acta Cryst., D76, 313‒325 (2020) 4) Saur, M., et al., Drug. Disc. Today, 25, 485‒490 (2020) 5) Peplow, M., Nat. Biotechnol. 35, 395‒396 (2017) 6) Perera, T., et al., Mol. Cancer Ther., 16, 1010‒1020 (2017) 7) Johnson, C., et al., J. Med. Chem., 61, 7314‒7329 (2018)を展開している。将来、FBDD由来の中枢神経薬が世に出て医療に貢献することを期待している。 アステックスは中規模クラスのバイオテックだが、創薬研究に必要な複数の部署が揃っており、適度なサイズであるため風通しがよく、横のつながりも強い。それぞれの部署のプロフェッショナルが常にニーズに合った新しい技術の導入または独自開発を検討しており、その過程と技術開発の実現の瞬間を目の当たりにすると、ベンチャー企業のフレキシブルさと勢いを実感する。ビッグベンチャーカンパニーを目指す大塚製薬も見習うべきことが多々あり、この風土を維持しつつ創薬バイオベンチャーとしてさらなる成長を期待している。

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