MEDCHEM NEWS Vol.32 No.2
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〔SUMMARY〕2. 講演トピックス1.はじめに102MEDCHEM NEWS 32(2)102-104(2022)2-1. Activity-Based Protein Profiling(ABPP)を用いた共有結合リガンドスクリーニングKeyword undruggable target, Activity-Based Protein Profiling, covalent fragment, KRAS*1 田辺三菱製薬株式会社 創薬本部 フロンティア創薬ユニット 榊原良Ryo Sakakibara*1 2021年9月27日から30日にかけて、Cambridge Healthtech Instituteが主催する19th Annual Discovery on Targetに参加した。本学会は、低中分子などの化学系モダリティのみならず、生物系モダリティまでカバーするとともに、ケミカルバイオロジーや評価系のセッションも設けられ、多様な専門性をもつ創薬関係者が参加する国際学会である。 2020年はCOVID-19の影響でオンラインのみでの開催であったが、今回はアメリカ・ボストンの会場とオンライン参加を自由に選択できる形式となり、筆者はオンラインで参加した。演者も会場での発表とオンライン発表(リアルタイムでの発表、あるいは録画上映)を選択できる形式で、リアルタイムの発表では会場/オンラインを問わず、活発な質疑が行われていた。一方、録画上映の演題では学会プラットフォーム上でチャット機能を活用して質疑応答が行われたが、回答がタイムリーに得られないケースもあり、踏み込んだ議論が行われにくい印象であった。また、学会閉会後も1年間オンデマンドでほとんどの発表録画にアクセス可能である点は、オン 2021年9月27日から30日にかけて、19th Annual Discovery on Targetが開催された。本学会は、化学系モダリティのみならず、生物系モダリティまでカバーし、多様な専門性をもつ創薬関係者が参加する国際学会である。創薬標的タンパク質の同定や端緒化合物取得の方法論をはじめ、RNA標的創薬やPROTACsといったホットな創薬手法など、創薬に関する多くのセッションが設けられている。本レポートでは、従来の手法では創薬標的にすることが困難なundruggableターゲットに挑む創薬アプローチに関する講演内容を中心に報告する。The 19th Annual Discovery on Target was held from September 27th, 2021 to 30th. This is an international conference that covers not only chemical but also biological modalities and involves researchers with diverse expertise. There are many sessions on drug discovery, including methodologies for identifying therapeutic target and hit compounds, and hot therapeutic approach such as RNA-targeted drug discovery and PROTACs. This report focuses on drug discovery approaches that challenge undruggable targets that are difficult to target with conventional approaches.ライン開催のメリットであり、同時刻に複数演題が発表される本学会のような形式の場合は非常にありがたい。 本学会では、その名のとおり、創薬標的として有望な標的タンパク質の同定とそのバリデーション手法に関するセッションや端緒化合物取得の方法論をはじめ、RNA標的創薬やPROTACsなどのホットな創薬手法、がんやNASHなどの疾患に対する創薬研究の最新動向など、創薬に関する多様なセッションが設けられている。本レポートでは、従来の手法では創薬標的にすることが困難なundruggableターゲットに挑む創薬アプローチに関する講演内容を中心に紹介したい。 がんをはじめさまざまな疾患において、原因となる 数多くのタンパク質が治療標的候補として見出されて いるものの、プロテオームの85%以上が低分子によって機能制御可能な明確な結合ポケットを欠いているため、“undruggable”であるとされている1)。これらundruggableターゲットに挑むには、リガンドが結合可能な部位、およびそこに結合するリガンドを見出す新たResearch Unit/Frontier, Sohyaku. Innovative Research Division, Mitsubishi Tanabe Pharma CorporationReport on 19th Annual Discovery on Target19th Annual Discovery on Target参加レポート

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