MEDCHEM NEWS Vol.32 No.2
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4. 産学連携の取り組み5. 多様性ある化合物ライブラリ構築への期待75図3 All Japan Library完成までの3つのステップ務はない。 ライブラリ構築を段階的に進め、2021年にStep2まで達している(図3)。企業発のライブラリという特色を活かし、参加企業における創薬活動の推進にとどまらず、広く国内アカデミアに活用してもらうことで、企業ニーズとアカデミアシーズのギャップを埋めたアカデミア創薬の活性化による真のオープンイノベーションに貢献していければと考えている。その第一歩として、“会員(アカデミア)”を新たな参加区分として設置し、2021年4月より“会員(アカデミア)”である大阪大学薬学系研究科創薬サイエンス研究支援拠点を窓口として、J-PUBLIC非会員(国内アカデミア、公的研究機関)への利用を開放した(図1)。 会員(企業、アカデミア)のメディシナルケミストからなる化合物選抜チームは、各社に伝わるナレッジをもち寄り、埋めるべきケミカルスペースを議論している。ライブラリの不足分を埋めるために、各社の化合物ライブラリを組み入れる、運営費で市販化合物を購入する、既存の共同ライブラリと統合するといった複数の方法を検討している。多様性を段階的に高め(図3)、創薬の出発点となる高質なヒットが見出せるようなAll Japanとしてのライブラリが構築できることを願ってやまない。 J-PUBLICは、会員の競争領域を確保しつつ自由度があるパブリックライブラリを構築してきた。多くの企業が、目指す将来像を理解し会員として加わってくれることを心待ちにしている。 アカデミアがJ-PUBLICを利用してヒット化合物を得て取得し、かつ企業との共同研究を希望する場合、共同研究ができるような運用体制を2022年1月に公表した(図4)。アカデミアは、大阪大学創薬サイエンス研究支援拠点ホームページから利用を申し込み、ヒット化合物が得られた際には共同研究に進むなど、J-PUBLICを最大限活用してもらいたい。 J-PUBLIC非会員は、HTS用として、アカデミア向けダイバーシティライブラリを利用できる。またHTS実施後、ヒット登録を行い、再評価が必要な場合はJ-PUBLICで保有する粉体を利用できる。ヒット登録後すぐに、数に制限はあるがヒット登録化合物の化学構造ならびに化合物に付随する情報が閲覧できる。あらかじめ協議会での承認が必要だが、パブリックライブラリの化合物構造を学会、および論文で公表することも可能だ。なお、“会員(アカデミア)”を窓口として利用申し込みをするため、標的分子を含むいかなる情報も“会員(企業)”に伝わることはない。 J-PUBLIC産学連携チーム、事務局、大阪大学窓口の協力によりできあがった上記の取り組みに関し、2021

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