74図2 ライブラリの特徴3-3.化合物閲覧 会員において、化合物の研究に従事する社員または教職員より最大5名、法規制担当者、および知的財産部門の担当者より最大2名ずつを構造閲覧者として認定し、構造閲覧者はパブリックライブラリの全化学構造を閲覧縁体評価を想定し、前者用にDMSO溶液、後者用に粉体を揃えた。DMSO溶液化合物23万化合物、粉体化合物44万化合物(溶液化合物23万を含む)を保有、および管理している。溶液化合物と粉体化合物をセットで用意することで、ヒットした場合に粉体化合物を用いて幅広い情報が取得できる。 DMSO溶液化合物の構造多様性を考慮し、化合物選抜チームが23万化合物の中から選抜した約1万(企業用およびアカデミア用の2種)、および約3万の化合物で構成されるダイバーシティライブラリを保有している。図2に示すとおり、パブリックライブラリは、医薬品としての適性指標(Ro5)を満たす化合物で構成される(粉体81%、溶液82%)。アカデミア用ダイバーシティライブラリは、パブリックライブラリの多様性やケミカルスペースの核を担保しつつ規模をスリム化することで、アカデミアのスクリーニングに対応している。評価可能な化合物数が限られるアカデミアも多いことから、ライブラリ配置を工夫することによりダイバーシティライブラリの利用化合物数は960化合物から10,240化合物までの間で希望に合わせて調整できる。3-4.公表、権利化 “会員(企業)”は、パブリックライブラリの化合物構造を学会、および論文で公表できる。ただし、パブリックライブラリ化合物に付随する情報は公表できない。 共同利用が制約されないよう、構造を閲覧することが可能なパブリックライブラリ化合物を権利の対象としてクレームし権利化することは禁止されている。また、共同研究、および委託研究の場合を除き、本ライブラリ化合物、および本ライブラリ化合物利用の権利を第三者に譲渡または許諾することはできない。 なお、パブリックライブラリ化合物の利用にあたり、標的分子を含むいかなる情報もJ-PUBLICへ提供する義できる。共同購入した化合物の構造閲覧に制限はない。 特筆すべきは、保有する一部の化合物については、化合物提供会社より非薬効薬理情報やヒット履歴等の付随情報が提供され、構造閲覧者は付随情報も閲覧できることだ。こうした情報は、ヒットを選択するうえで有用である。 “会員(企業)”は、数に制限はあるもののパブリックライブラリ化合物を各社のライブラリに組み込むことも可能で、ライブラリへ組み込んだ化合物構造とそれらに付随する情報を社員が閲覧することができる。“会員(アカデミア)”は、アカデミア用ダイバーシティライブラリ化合物に対してのみ化学構造、および付随情報を閲覧可能な教職員を設定することもできる。
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