MEDCHEM NEWS Vol.32 No.2
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みしま よしなお1973年 東京工業大学工学部金属工学科卒業1975年 同大学大学院理工学研究科金属工学専攻修士課程修了1979年 カリフォルニア大学バークレー校大学院材料科学専攻博士課程修了1997年 東京工業大学大学院総合理工学研究科材料物理科学専攻教授2011年 同大学理事・副学長(教育・国際担当)2012年 同大学学長(~2018年3月)2019年4月 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター長 (~2020年3月)2019年5月 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期 「統合型材料開発によるマテリアル革命」PD2020年4月 現職MEDCHEM NEWS 32(2)53-53(2022)53年4回2、5、8、11月の1日発行 32巻2号 2022年5月1日発行 Print ISSN: 2432-8618 Online ISSN: 2432-8626国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 理事長三島 良直 日本医療研究開発機構(AMED)は、「医療分野の研究成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」を目指し、基礎から実用化までの一貫した研究開発と成果の実用化に向けた取り組みを進めております。 令和2年度からスタートした第2期健康・医療戦略の下では、6つのモダリティ(医薬品、医療機器・ヘルスケア、再 生・細胞・遺伝子治療、ゲノム・データ基盤、疾患基礎研究、シーズ開発・研究基盤)を軸にした統合プロジェクトにおいて、開発された新たな医療技術等のさまざまな疾患への展開を図っています。また、わが国における社会課題として主要な疾患領域(がん、生活習慣病、精神・神経疾患、老年医 学・認知症、難病、成育、感染症)についても、統合プロ ジェクトを横断した柔軟なマネジメント機能の下、研究開発を推進しています。 特に、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症(COVID- 19)への対応については、補正予算等を活用し、さまざまな課題の支援に取り組んできました。当初は、ドラッグリポジショニングやウイルス診断・検査技術等、比較的すぐに実用化が見込まれると考えられる研究開発を中心に積極的に支援を行うとともに、基礎研究や基盤整備等への支援にも取り組んできました。また、本原稿執筆時点(令和4年2月現在)で、AMED支援により、治療薬開発で14課題、ワクチン開発でも複数の課題で臨床試験が進行しており、基礎的なシーズでは新規創薬のための研究開発等も着実に進展しています。さらに、診断法や検査法の開発では、AMED支援を通じて、複数のものが保険収載、実用化に至っており、迅速・簡易・高精度・大量測定等の技術開発が進展しています。 世界で最初のCOVID-19の患者が報告されて以来、2年以上が経過し、現在はワクチン接種や治療薬を用いることで、経済活動を行いながら、日常生活をしていくフェーズに入ってきていると思います。引き続き、COVID-19に関連する研究開発について支援を進めてまいります。 また、昨年6月、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」が閣議決定されました。同戦略においては、産業界の研究開発状況、国内外の新規モダリティ動向を踏まえ、ワクチン実用化に向け政府と一体となって戦略的な研究費配分を行うべく、AMED内に、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)を新たに設置することとされました。SCARDAを通じて、平時より長期的・安定的かつ戦略的に産学官連携による研究開発を強力に支援し、さらに緊急時には迅速・機動的なファンディングを行いワクチンの早期実用化につなげることで、国民のご期待に応えていきたいと考えております。 今後も、患者さんや医療現場、研究者、産業界等の皆様からのニーズをしっかりと把握し、医療分野における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進と成果の実用化に取り組むことで、AMEDに求められる使命を果たすべく努めてまいります。Yoshinao MishimaJapan Agency for Medical Research and Development(AMED), PresidentCopyright © 2022 The Pharmaceutical Society of Japan公益社団法人 日本薬学会 医薬化学部会NO.2Vol.32 MAY 2022AMEDの医療研究開発における使命と取り組み状況

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