3. ベイズ最適化による反応条件探索33図4 反応条件検討②(反応温度と出発原料2aの当量)して図3bのグラフが得られた。網掛けの部分は信頼区間を示しており、信頼区間の最大値から最も高い収率が得られる流速は1.7mL/min程度であると予測できた。同様に流速1.7mL/minで温度について解析すると、図3cのように最も収率が高くなり得る温度は77℃付近であると予測できた。また、流速を1.7mL/minとしてアレン酸エチル2aの当量数と反応温度について解析すると、図4のように2aは2.0当量、反応温度90℃付近が最適反応条件という結果となった。すなわち、10例の実験データと機械学習を用いて、最適条件を予測することができた。図5に示すように、最適と予測した条件で実際に実験を行ったところ、収率76%(94%ee)で目的物を得ることに成功した2)。なお、反応温度については、エナンチオ選択性も考慮する必要があることから低い方の値を用いている。 次に、電解酸化での反応条件最適化に機械学習を応用した。電解酸化では、反応時間や温度のような一般的なパラメーターに加えて、電流値や電解質濃度も最適化しなければならず、図示しにくいうえにガウス過程回帰のみの適用は困難である。そこで、学習データの「活用」と、学習データが検討していない領域の「探索」を組み合わせて、最適反応条件を求めるベイズ最適化による反応条件設定を試みた。「活用」と「探索」に用いられる獲得関数には、EI(ExpectedImprovement)、LCB(LowerConfidenceBound)などさまざまなものが開発されており、局所解に陥らないように目的に応じて使い分ける必要がある。図6に示す、アミン6からイミン7への電解酸化反応をモデル反応として、ベイズ最適化
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