MEDCHEM NEWS Vol.32 No.1
27/52

2. 構造生成器とは27図1  構造生成器の種類図2  VAEによる構造生成たい。 構造生成器とは、初期条件に従い、新規化学構造式を出力するアルゴリズムのことである。構造生成器の歴史は古く、MartinKarplusが開発したCONGEN12)にまで遡ることができる。構造生成器は大きくビルディングブロック型構造生成器と深層学習型構造生成器の2種類に大別される(図1)。ビルディングブロック型構造生成器は、あらかじめ用意された部分構造や結合ルール(有機化学反応に基づくルールに縛られない)などに従い、構造を生成していく。用意するルールは化学的な妥当性が担保されているため、実際に存在しうる構造の生成が期待できる。問題点として、事前に用意するルールを注意して選定する必要があること、生成する構造の種類が膨大になりすぎて、現実的な課題に適応できない場合があることなどがあげられる。しかし、生成構造の妥当性や解釈性が優れていることから、ビルディングブロックの発想に基づくアルゴリズムは現在でも広く用いられている。 近年、大量の化学構造データと深層生成モデルを用いた深層学習型構造生成器が盛んに研究されている。本稿では、深層学習モデルの中でも、variationalautoencoder(VAE)を用いた構造生成器について詳細を解説していく。VAEを用いた構造生成器の概要を図2に示した。VAEは入力データと出力データが同一となる深層学習モデルである。すなわち、ある化学構造を入力すると、

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る