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健康豆知識

いつまでも元気!健康長寿に必要な取り組みとは?


【はじめに】

 定期的な医療機関の受診や若い時からの健康管理、適切な運動など健康で長生きするために取り組んでいることはたくさんあると思います。
 その成果や医療の発達もあり国民の平均寿命は年々延びていますが、健康的に自立して生活できる期間「健康寿命」は平均寿命と8年以上と大きな開きがあることが指摘されています。つまり、長生きでも長期間にわたり介護や入院が必要であれば健康寿命が短いということです。
 近年、健康寿命を維持し、少しでも伸ばすことが国の取り組みとして進められていますが、重要なキーワードとして「フレイル予防」が注目されています。
 今回は、フレイルについてご紹介したいと思います。

【フレイルとは?】

 フレイルとは虚弱や老衰、脆弱を意味する英語「Frailty(フレイルティ)」が語源の言葉で、わかりやすく言うと「年を取って体や心の働き、社会的つながりが弱くなった状態」を指します。
 この状態が続くと「健康な状態」から「日常生活でサポートが必要な状態」になってしまう可能性があり、特に高齢者においてはフレイルが発症しやすいことがわかっています。
 フレイルは予防により進行を緩めるだけでなく、健康な状態に戻すことが出来るとされているため、健康である期間を長く維持するためにもフレイルに早く気付き、正しい治療や予防を進めることが大切です。
 次にフレイルに気づくためにも、フレイルの状態についてご説明します。

【色々なフレイルと予防】

 フレイルには、「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の大きく3つの種類があります。
 まず「身体的フレイル」は、ケガや体の痛みなど運動機能の障害(ロコモティブシンドローム)や筋肉の衰え(サルコペニア)による移動する能力が低下した状態です。
 次に「精神・心理的フレイル」は、定年退職による生きがいの喪失やパートナーを失うことが原因となる、気持ちの落ち込みや軽い認知症の状態などを指します。
 最後に「社会的フレイル」は、定年退職や友人や仲間と繋がりが希薄になることで、社会活動や社会的交流が少なくなる状態を指します。
 これら3つのフレイルが重なることで老い(自立度の低下)は急速に進みますが、この連鎖の入り口は人によって異なります。老いとは決して身体の問題だけではないのです。
それでは、フレイルを予防するためのどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。
 フレイル予防は日々の習慣と結びついているため、「栄養」「身体活動」「社会参加」を見直すことが第一歩です。
 「栄養」とは食事の改善です。食事は活力の源ですので、バランスの取れた食事を3食摂ることを意識しましょう。また、お口の健康(口腔ケア)にも気を配りましょう。
 次に、「身体活動」とはウォーキングやストレッチなど運動をすることです。運動は筋肉の発達だけでなく、食欲や心の健康にも影響します。今までより10分多く歩くことから心がけてみましょう。
 最後に、「社会参加」は、趣味やボランティアなどで外出することです。身近なことや自分に合った活動を見つけましょう。

【最後に】

 年のせいと諦めていた体や心の衰えは予防できます。
自分はフレイルではないかという心配や、フレイル予防の活動をどうやって始めたら良いか等で困ったときは、各自治体で色々な取り組みを行っていますので問い合わせてみてください。
 やりたいことや好きなことを続けていくために、フレイル予防の3つのポイントである「栄養」「身体活動」「社会参加」を少しずつ毎日の生活に取り入れ、今できることから始めてみてください。

2022年6月
担当 慶應義塾大学病院 薬剤部 金沢和幸