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健康豆知識

慢性腎臓病(CKD)とは? 腎臓は健康の鍵!


【はじめに】

 慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:略してCKD)とは慢性敵に経過するすべての腎臓病を指します。CKD患者さんはわが国では約1,330万人に達しており成人の8人に1人がCKDであり、CKDは21世紀に新たな国民病として認識されるようになりました。

【CKD】

 CKDは,腎臓の障害(蛋白尿など),もしくはGFR(糸球体濾過量)60 mL/分/1.73m2 未満の腎機能低下が3カ月以上持続するものです。CKDになると心筋梗塞や脳卒中を起こしやすく、進行すると最終的に人工透析や腎移植が必要です。透析患者数はおよそ30万人です。しかしCKDは適切な治療により進行を抑えることが出来ます。CKDの進行には糖尿病(糖尿病性腎症)と高血圧(腎硬化症)が深く関わっています。

【腎臓の働き】

①尿を作ります。
 腎臓は血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出してくれます。 また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。結果として体内の水分量、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)を調節し血液を弱アルカリ性(pH7.4)に保ちます。
②ホルモンを作ります。
 腎臓は血圧を維持するホルモン(レニン)を分泌し血圧を調節します。さらに血液(赤血球)は、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けて骨髄の中にある細胞でつくられます。 腎臓の働きが悪くなるとエリスロポエチンが出てこなくなってしまうため、血液が十分につくられず貧血になります。
③ビタミンDの活性化
 カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDをつくっています。 腎臓の働きが悪くなると活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなって骨がもろくなるなどの症状が出てきます。

【CKDを早期発見するために】

 なかなか症状が現れず、自覚しにくいこともCKD の特徴のひとつです。貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気がかなり進行している可能性もあります。
 そこで重要となってくるのが、健康診断による定期的な検査です。尿検査で尿にタンパクが出ているかを検査し、血液検査で推算糸球体濾過量(eGFR)を測定します。推算糸球体濾過量(eGFR)とは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。

【予防】

 肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、CKD の発症に大きく関与しているといわれています。また、最近注目されているメタボリックシンドロームでも、CKDの発症率が高まることが分かっています。高血圧や糖尿病は腎臓を傷めつけるので、生活習慣の改善が重要です。肥満の是正や減塩を心がけ、規則正しい食事が大切です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことが大切です。また、CKDの発症や進行予防には血圧の管理と尿検査が重要になります。家庭血圧計や尿試験紙も市販されていますので、ふだんから、家庭でもこまめに血圧をチェックし、定期的に尿検査をすることをお勧めします。しっかり健康管理を行えば、腎機能の悪化を予防し、人工透析が必要となる腎不全への進行を抑えることが可能です。
 腎機能が低下した場合には低たんぱく食を摂り、カリウムを制限する必要があります。塩分は1日6g以下が望ましいでしょう。初期のCKD患者さんの血圧は130 mmHg/80 mmHg以下を目標にします。たばこを吸っている人は禁煙に努めてください。

*食事の工夫*
~減塩の工夫~
 減塩に慣れましょう。だしをきかせる、スダチを絞るなど香りを加えるなどして味付けに工夫することで薄味でも食べやすくなります。食塩、みそ、しょうゆなどの調味料を減らしても、塩はパンや麺類、バター、ハムやかまぼこなどの加工食品、インスタント食品などにも多く含まれているので注意が必要です。
~カリウムの摂取を減らすための工夫~
 カリウムは水に溶ける性質があるので野菜を調理する時に、茹でるなど調理法を工夫することでカリウムの摂取を減らすことが出来ます。

【おわりに】

 はじめに書いたように成人の8人に1人が慢性腎臓病(CKD)と言われています。CKDは脳卒中や心筋梗塞など心血管病発症のリスクを高めることがわかってきました。悪くなってしまった腎臓を回復させるのは困難ですが、生活習慣の改善と薬物治療を継続することにより、病気の進行を抑えることができます。そのためには早期発見、早期治療が重要です。自分の腎臓をいたわって健康で長生きを目指しましょう。


参考資料 日本腎臓学会編CKD診療ガイド2012
     日本慢性腎臓病対策協議会(J-CKDI)CKDについて

2014年5月
ゆうま薬局 猿橋裕子