学位(博士)取得者のキャリアデザインに関するワークショップ報告書
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「学位(博士)取得者のキャリアデザインに関するワークショップ」 薬学に関する学術の進歩を持続するためには学術活動に従事する人材の育成が欠かせない。しかし、近年は大学院の4年制博士課程および博士後期課程への進学者が減少しており、学術を推進する博士人材の不足が懸念されている。そこで、日本薬学会の目的「薬学に関する学術の進歩および普及をはかる」に基づき、薬学教育委員会は2022年度から今後の学術進歩を担う若手人材の育成に資する活動を行うこととした。 その最初の取組として企画したのが「学位(博士)取得者のキャリアデザインに関するワークショップ」である。薬学教育制度が変更された平成18年度以降に薬学部に入学し、大学院において学位を取得してアカデミア、医療機関あるいは企業等で働く若手博士たちから、キャリアの現況やビジョン・ニーズ等を聞くことを目的とした。ワークショップの参加募集は、長井記念若手薬学研究者賞受賞者*1、および長井記念薬学研究奨励支援事業採用者または全国学生ワークショップ参加者で学位取得者を対象に行った。参加希望者は29名(6年制課程卒業23名、4年制課程卒業6名;男性20名、女性9名)で、長井記念薬学研究奨励支援事業採用者で学位取得者が17名(うち長井記念若手薬学研究賞受賞者7名;全国学生WS参加者2名)、全国学生ワークショップ参加者で学位取得者が12名であった。勤務先については、大学13名、病院9名、企業4名、薬局2名、研究所1名であった。 注:*1長井記念若手薬学研究者賞:長井記念薬学研究奨励支援採用者の中で、学位取得後5年目の活動調査で、長井記念薬学研究奨励事業の趣旨と理念にある「薬学の発展に寄与する強い意志を持って活動している研究者」に授与する。 ワークショップは2022年11月13日(日)9時から17時までZoomによるオンラインで開催した。佐々木会頭の開会あいさつに続き、中村実行委員長が本ワークショップの開催趣旨の説明を行った。趣旨説明では、参加者を対象に行った事前アンケートの結果も紹介された。第一部は「博士を取得した私のキャリアデザイン」をテーマにワールドカフェを行い、参加者間の交流と情報共有を行った。最初のセッションでは参加者は7テーブルに分かれ(Zoomのブレイクアウトルームを利用)、「私が博士課程進学(博士取得)を選択した理由」をテーマに「おしゃべり」を行った。セッション2では別のテーブルに移動し、新たに出会った参加者同士が「私が現在の仕事を選択した理由」について紹介しあった。最後のセッション3のテーマは「私のキャリアプラン」で、第二部以降でグループ討論を行うメンバーが同じテーブルとなり、自己紹介と将来計画について会話を楽しんだ。 第二部では本ワークショップのメインテーマとなる「私たちが歩んでいるキャリアで感じる課題と解決のアイデア」について、第一部のセッション3と同じ5グループに分かれて協議を行った。作業とし開催の経緯と概要 1

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