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過去のハイライト

 日本ジェネリック製薬協会はジェネリック医薬品メーカーを会員とする団体です。1965年の設立以来、ジェネリック医薬品の一層の普及とジェネリック医薬品産業の健全な発展を通じ国民の健康と福祉の向上に貢献することを目的として、様々な活動を行ってまいりました。
 ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、有効性や安全性が確認されてきた新薬(先発医薬品、以下「新薬」)と有効成分が同じで、審査を経て効き目・品質・安全性が新薬と同等だと国に認められた医薬品(製剤)です。ジェネリック医薬品は、大まかにいえば製剤のみが開発されたものであることから効率的に開発でき、低価格で提供できる特徴があります。
 ジェネリック医薬品が存在する新薬(長期収載品)をジェネリック医薬品に置き換えることにより、患者さんの自己負担を軽減することができるほか、より革新的な新薬を医療保険で高く評価することによってその開発を促すなど、限られた医療資源をより有効に活用することも可能になります。

 医薬品を有効成分と製剤に分けてみると、ジェネリック医薬品を理解しやすいと考えています。
 ジェネリック医薬品は新薬があってはじめて存在します。新薬では有効成分が開発され、次いで添加剤を加えるなどし、有効成分を1回量ごとに適切に服用するための「製剤」が開発されます。数百億円を超える研究開発費が1品目に必要といわれています。有効成分はその特許期間が満了すると国民共有の財産になります。ジェネリック医薬品は、国民共有の財産となった新薬と同一化合物である有効成分を用い、薬理作用はそのままに製剤として新たに開発された医薬品といえます。生物学的同等性試験により製剤として新薬と生物学的に同等であると確認されています。研究開発費は普通の経口製剤1品目で1億円程度です。ジェネリック医薬品を新薬よりも低価格で供給できる主な理由は、このように開発と普及にかかるコストが新薬に比べて少ないことによります。
 研究開発費は大きく異なるのですが、有効成分と添加剤からなる製剤自体の工場での製造コストは新薬とジェネリック医薬品で薬価の差ほど差があるわけではありません。
 なお、腑形剤など製剤化に必要な添加剤は、一般的に既承認製剤で使用前例があり安全性が確認された添加剤のリストである「医薬品添加物事典」の中から選んであります。このリストは新薬とジェネリック医薬品で共通のものです。

 ジェネリック医薬品では有効成分から開発せずに製剤のみを開発しますので、製剤学上の工夫や包装表示の工夫に取り組むこともできます。例えば製剤の安定性、飲みやすさ、医療事故防止を目指した包装表示などの工夫です。医療関係者が医薬品を取り扱いやすくなるようにし、患者さんにも判りやすく服用しやすくすることは進んで取り組むべきことです。そのための努力を今後とも続けてまいります。
 製剤工夫についてもう少し具体例を紹介します。小児の場合、薬が苦いと飲みにくいため保護者はご苦労なさいます。そこで苦味を抑えるなど飲みやすくする工夫にジェネリック医薬品メーカーも取り組んでいます。また高齢者ですと飲み込む嚥下力が弱くなった患者さんがいらっしゃいます。口腔内崩壊錠(OD錠)があると飲みやすくなります。そこで、新薬にもありますように、ジェネリック医薬品メーカーもOD錠の技術開発に取り組んでいます。

 我が国では国民皆保険制度により、一定の自己負担で、必要な高水準の医療を平等に受けることができます。その一方で医療技術の進歩、急速な高齢化等の要因により医療費は増加し続け、医療財源が逼迫しつつあることから、国民皆保険制度の持続が不安視されています。この国民皆保険制度を持続し、医療の質を確保しながら効率的な医療サービスの提供を継続するために、ジェネリック医薬品メーカーは国民の期待に応えなければなりません。
 消費税率を段階的に10%に引き上げ、増税分を社会保障の維持や充実に充てる「社会保障・税一体改革」が今年から順次実行段階に移ることは良くご承知だと思います。実は、この社会保障・税一体改革には革新的新薬の創出とともにジェネリック医薬品の使用促進が組み込まれています。具体的には、日本発の革新的な医薬品・医療機器等の創出により健康長寿社会を実現することや国際競争力強化による経済成長に貢献することを目指すとする一方で、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を作成し総合的な使用促進を図ることになりました。これに基づき「ジェネリック医薬品に置き換えられる先発医薬品+ジェネリック医薬品」の数を分母とした数量シェアを2018年3月末までに60%以上とする目標が設けられました。その実現のために、ジェネリック医薬品のさらなる安定供給、品質に対する信頼性の確保、情報提供を達成いたします。

 社会保障・税一体改革では、人口構造の変化や医療費の課題を背景に、入院医療の機能分化と連携、地域包括ケア体制の整備など、医療と介護の機能再編の将来像を描いています。
 このような医療や介護の将来に向けて、医療のコスト対策、在宅医療での薬の飲みやすさ、扱いやすさや表示への配慮など、ジェネリック医薬品が果たす役割はますます重要になります。