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過去のハイライト

  祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きありですから世の中の状況は常に変化しています。そのような状況の中でも、毎日1時間、そして1年間努力すれば365時間、25年続ければちょうど年単位の努力に相当します。意思が強ければ何とか継続して頑張ることは可能でしょう。しかし、努力したからといって、本当の果実をつかめる保証は全くありません。チャンスが転がり込んで来るかどうかは「運命」の大きな流れの中にあるのです。そしてその「運命」の星は総ての人々に決して平等には降ってきません。むしろ不公平といっても良いかもしれません。このように考えてしまうと努力したくなくなると思いますが、常に努力を続けて、果実が来た時にそれをつかめる体勢・能力を整えておかなければ、せっかく果実を得るチャンスがきたとしも見逃してしまうのです。
 私自身、皇太子殿下として生まれてきたわけでもないし、生まれが10年前、10年後だとすると、今とは全く違う人生を歩んでいたと思います。しかし、今、生きていることこそが「運命」ですから、常に前を向いて継続して努力すること、結果を期待するのではなく、何らかのチャンスが来た時にそれを確実につかめるようにすることが大切だと思います。

 X君が、A子さんとB子さんを比べて、A子さんと結婚したとします。X君は、5年後になってB子さんの方がよかったかなと思いました。しかし、X君はB子さんとは結婚していないのですから、B子さんと結婚した方がよかったと思ったとしても、B子さんと結婚していたらもっともっと悲惨だったかもしれません。このことは仕事・研究でも同じであり、Aの道に行こうかBの道に行こうかと迷ったときに、Aの道を選んで何年かした後、Aの道がうまく行かないからといってBの道に行けばよかったと思ったら「負け」なのです。Aの道が思った通りに行かなかったからといって、Bの道がよかったのかなと思ったとしても、実際はもっと失敗していたかもしれません。これらのことは時間軸で同時並行していませんから全く判らないのです。従って、Aの道を選んだのであれば、常に努力を継続してチャンスが来たらつかめる状態になっておくべきだと思うのです。Bの道がよかったなと思うのではなく、Aの道でもチャンスが来ることを信じて、常に前を向いて努力するべきだと思います。
 自らが一旦やろうと決めたことは、「やらされている」と思うのではなく、「自分からやる」というブレナイ軸をもって、常に努力を継続していくことが大切だと思います。
 大きな「運命」の流れの中で、Aの道でチャンスが掴めた時(A子さんと幸せになった時)、初めてBの道(B子さん)をノスタルジアをもって思いだすものではないでしょうか。

 連合軍総司令官のマッカーサー元帥が部屋の壁に掲げ、また、ロバート・ケネディの追悼式でも引用されたというサミュエル・ウルマンの詩「YOUTH(青春)」をご存じの方も多いと思います。この詩には「青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、安易(やすき)に就こうとする心を叱咤する冒険への希求がなければならない。人間は年齢(とし)を重ねた時老いるのではない。理想をなくした時老いるのである。」とあります。「常に前を向いて、燃えるような情熱でチャレンジし続けるのが青春」ということなのですが、「常に前を向いて努力を継続しなさい」という詩なのです。
 常に情熱を持って努力していれば、会社からも社会からも「この人は一生懸命がんばっているので何とかしてくれる」と評価されるのではないでしょうか。また、運命はそういう人に不公平にチャンスを降らせてくるものであり、時には「強運」の持ち主だったりするのです。ちなみに、冗談のように聞こえるかもしれませんが、向後の憂いを無くしてAの道に邁進できる様にするために、いつも「女神達(A子さんを含めて)が守ってくれている」と信じることが「強運」に繋がる重要なファクターのひとつかもしれません。

いろいろな大学の講義で学生さんによく独断と偏見を申し上げております。
 国家も、企業も、研究も、総て生かすも殺すも人材次第であり、皆さん方がリーダーになるのか、あるいはプロフェッショナルになるのか、そして皆さんそれぞれが交換できない精巧な歯車なのか、あるいは交換可能な汎用部品なのか、自分自身の責任で生き方を決めなければならない。しかし、“大きな運命の流れ”の中で、“不断の努力”に励み、常に“前向きに取り組み”、どんなことにでも“果敢に挑戦”できる人材になることが大切なのではないか。

 最後にオヤジの遺訓として、ひとこと申し上げたい。常に本業を“右足”で120%、そして関連することあるいは趣味でも何でも良いから“左足”で120%発揮せよ!そうすれば、誰からも文句を言われず自分自身の理想に挑戦できると。

以上