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過去のハイライト

ホームページの刷新など、薬学会と社会との接点を増やすことに意欲を燃やす松木則夫会頭にインタビューし、今後の抱負など伺いました。(広報委員会)

松木会頭 学会ホームページの刷新について

 ホームページで重要なことは、知りたい情報に的確に辿り付けることです。この新しいHPは、情報が非常によく整理されていて、とても使い勝手がよくできています。コンテンツを充実させ、薬学の社会的役割を、できるだけ多くのみなさんに知っていただきたいと思います。薬学には非常に多種多彩な専門分野があり、会員の所属も多様です。逆に、それだけで薬学界という世界が完結してしまい、内向きの意識が強かったように思います。

また、学会は自分たちの学術だけを考えていれば良いという自己満足的な考え方があり、社会貢献や情報発信は二の次とされていました。しかし、それでは良くないと考えています。健康は誰にとっても宝ですが、それを支えている薬学についてはあまり国民に知られていません。このHPが、薬学の役割について社会的認知を得るための窓口となればと思っています。

学会を時流に乗せるために

 今年6月に閣議決定した「新成長戦略」。この中で、生命科学は新たな市場を創出し、将来日本経済を牽引する分野として期待されています。この流れは、薬学会の強みを活かすチャンスだと思います。現在、薬学会会員の約半数は大学の研究者ですが、企業の方も28%占めています。

 そして、その領域も大変多岐に渡り広い多様性を持っていますので、産学連携をするための条件は悪くありません。新成長戦略の中では、ベンチャーキャピタルの環境も整うはずですので、マッチングのチャンスなど積極的に設けていきたいと思います。

 また、基礎研究についても、将来、どのようなものに応用が可能かを説明する場を学会の中でできないものかと考えています。現在、「将来展望委員会」で議論を進め、「薬学の展望とロードマップ」を作成しています。最終段階でまもなく完成します。薬学に関する事項について現状と課題を説明し、提言をするもので、これらを広く配布して政策立案にも活かしてもらうように働きかけていく予定です。必要であれば、他の学協会などと連携して活動していきたいと思います。

子どもの理科離れについて

 将来の日本の科学技術を背負う優秀な人材を確保するために、学会が全力で立ち向かうべき課題だと考えています。私自身が科学に興味を持った背景には、小中学校の先生の影響が大きかったので、子供たちだけでなく、教師にも理科の面白さを訴えていく必要があります。

 今年の岡山年会では高校生による研究発表が企画されました。高校生のうちから学会発表の機会が与えられるということで非常に熱気に富んだものとなり、試みは大成功でした。こうした取り組みやサポートは今後も続けていこうと思います。

これからの薬学会のあり方について

 大学においては六年制薬学教育が主流となり、薬学の基礎研究を支えていた大学院生が大幅に減少しています。日本の基礎薬学研究は世界に類を見ない優れた先端的分野でしたが、困難な局面を迎えています。日本薬学会はこうした基礎薬学研究をサポートするとともに、薬剤師の生涯研修などを通じて応用薬学研究の発展も支えていく必要があります。

 また、若い人たちの意見がしっかり反映される仕組みを学会に作りたいと思います。HPやメールマガジンをさらに充実させ、会員が連携して意見を述べていける環境作りを早急に整えます。同時に、非会員の皆様にもご意見を頂き、薬学会に対する社会的ニーズに応えていきたいと思います。