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今月の薬草
ショウガ
Zingiber officinale Roscoe ( ショウガ科 )
ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科)花 ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科)花

ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科)栽培
栽培
 インド原産と推測されている多年草ですが,古い時代から栽培されているため,現在のところ野生種は発見,確認されていません。日本への渡来時期は定かではありませんが,平安時代中期に編纂された延喜式(905-27)には食品として栽培されていたことが記載されています。草丈は50〜60cm,葉は30cmくらいの披針形です。根茎は不定形に肥大し,特有の芳香と辛味があります。花は黄緑色に小豆色の模様を生じ,花茎の上部に穂状について夏から秋に咲きますが,日本では,温暖な高知県や植物園の温室などで稀に見ることができます。しかし果実を生じることはありません。そのため栽培は,根茎(種芋)を分割させて用います。因みにショウガとミョウガは同じ仲間になり,花の色は異なりますが,形状は大変よく似ています。
 和名は漢名の生薑または生姜を音読みしたものです。また別名としてハジカミとも呼ぶことがありますが,これはクレノハジカミが訛ったものです。本来はミカン科のサンショウ(山椒)を指します。ショウガは薬用として根茎を用います.根茎の表面のコルク層を取り除き,そのまま乾燥させた生薬をショウキョウ(生姜),湯通しまたは蒸してから乾燥させた生薬をカンキョウ(乾姜)といって加工方法により区別しています。ともに風邪や芳香性健胃,芳香性健胃,鎮吐の改善を目的として,葛根湯や半夏瀉心湯などの漢方処方に配剤されていますが,ショウキョウは吐き気を止める作用が強く,カンキョウは身体を温める作用が強いといわれています.
 ショウガを加えた料理や食品を食べた後,汗を生じたり,体が温かくなったという経験をされたことがあるかと思います。これはショウガに含まれる成分に,発汗を促したり,血液の流れを促進させる作用があるためです。ショウガのこのような効能を期待して,風邪の初期に用いられる葛根湯に配剤されていると考えられています.日本には昔から,「風邪かなと感じたら,刻んだショウガやすりおろしたショウガ汁に砂糖や蜂蜜などと一緒に熱湯を加え,温かいうちに飲む」という民間療法があります。この民間療法はショウガの持っている作用を上手に応用したものです。民間療法というとその効果に半信半疑の方もおられるようですが,漢方薬でのショウガの用いられ方を踏まえた民間療法の一つといえましょう。因みに葛根湯には7つの生薬が配剤されていますが,そのうちの5つ(ショウガ,クズ,シナモン,ナツメ,カンゾウ)は食品です。言い換えれば葛根湯は薬食同源のお薬とも言えます。(磯田 進・鳥居塚 和生)

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