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アカマツ
Pinus densiflora S IEB.Et ZUCC.
(
マツ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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北海道南部から九州の屋久島,朝鮮半島,中国東北部にかけての広い地域に分布し,やや乾燥した酸性土壌に生育している常緑の高木です。雌雄異花。樹高は40m,幹の直径が2m以上になり,日本では最も一般的なマツです。葉は線形で2本が対になり,先端は尖っています。樹皮は赤褐色で,コルク層は鱗状に剥げ落ちます。雌花は枝の先端につき,その下部に雄花が群生して春に咲きます。毬果(松ぼっくり)は翌年の秋に熟します。各地で用材として植林され,また庭木や盆栽としても親しまれ,樹形の美しい老木は天然記念物に指定されている株もあります。近年,マツノザイセンチュウが寄生することにより枯死する株が多くなり,各地の銘木や植林地などでは深刻な状況となっています。
和名は赤褐色を呈している樹皮に由来しています。因みにマツの語源は,多くの説がありハッキリしていません。その中にあって江戸前期の語学書である「和句解(わくげ)」(松永貞徳著・1662)には,葉がまつげによく似ているところから名づけられ,その転訛と記されています。何の根拠もあるわけではありませんが,最も庶民的な発想ではと思い紹介します。
薬用には樹脂(松ヤニ)を用い,テレビン油やロジンの原料とします。テレビン油は塗料や油絵の具の溶剤として,またロジンは絆創膏の粘着付与剤や紙のにじみを防ぐサイズ剤などの工業用原料とします。その他,アカマツそのものではありませんが,根にはサルノコシカケ科のマツホド(生薬名はブクリョウといい,安中散などの漢方処方に配剤されます)が寄生することでも知られています。
琥珀は針葉樹などの樹脂が地中に溜まって固化し,一億年以上の歳月を経て化石状態になったものです。その硬さは鉱物と同じくらいになり,加工してネックレスやペンダントなどの宝飾品として珍重されています。時には当時,生息していた昆虫が混入していることもあります。1990年に出版されたマイケル・クライトンのSF小説「ジュラシックパーク」では,琥珀中に混入していたジュラ紀の蚊が吸っていた血液から遺伝子を採取し,バイオテクノロジーで恐竜を蘇らせたというストーリーは大きな話題になりました。その後,スティーヴン・スピルバーグ監督により映画化され,多くの方が楽しまれたのは記憶に新しいところです。(磯田 進・鳥居塚 和生)
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