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ウイキョウ
Foeniculum vulgar MILLER
(
セリ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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ヨーロッパ原産の多年生草本植物。全草,特に果実は特有の芳香があります。葉は2回羽状に深く裂け,細い糸状の裂片になっています。花は黄色で小さく複散形状につけ,夏に咲きます。果実は果皮が薄いため,まるで種子のように見え卵状楕円形で熟すと2つに分かれます。
和名は漢名(茴香)の音読みです。茴香とは魚などの生臭さを消し去り,香りが回復するという意味があります。また別名をフェンネルともいいますが,これは英語のfaennelをそのまま発音したもので,ハーブ関係ではこちらが標準的な名称となっています。薬用には果実を用います。生薬名もウイキョウ(茴香)といい,芳香性健胃薬などの製剤原料とします。また健胃消化薬,鎮痛,鎮けい薬を目的とした漢方処方に配剤されています。その他,ハーブとしてカレー料理などにも利用されています。
セリ科植物はそれぞれ特有の香りがあり世界各地で親しまれていますが,原産地のヨーロッパからシルクロードを経て中国に伝わり,日本には9世紀よりも前に渡来していたといわれています。セリ科の植物は日本でもミツバ,セリ,ハマボウフウなどが和食の食材としても利用され,独特の香りも味わいになっています.芳香は常温でも揮発しやすい精油によるものですが,セリ科であってもチドメグサの仲間は,精油を貯蔵する組織がないため特有の香りをもっていません。
ところで精油は植物のどの様な組織に貯蔵されているかご存じでしょうか。精油は油道または油管と呼ぶ組織の中に貯蔵されています。この油道は,細胞同士が離れてできた間隙により生じたものと,組織が生長することにより細胞が破壊されて生じたものに分けることができます.前者を離生細胞間隙,後者を破生細胞間隙といいます。ウイキョウをはじめとしたセリ科の精油や,松ヤニ,タンポポの乳液などは離生細胞間隙に貯蔵され管状になっているものが多いようです。一方,破生細胞間隙は柑橘類の皮などにみられる油室がそれに当たります.ちなみに組織が生長することにより細胞が破壊されて生じる間隙には大きなものもあり,タケなどイネ科植物の茎に生じる中心部の空洞も実は発生的には同じものなのです。(磯田 進・鳥居塚 和生)
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