キカラスウリ
Trichosanthes kirillowii MAIM. var. japonicum KITAMURA
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ウリ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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日本特産の多年生草本植物です。雌雄異株。林縁などに生育しているつる性植物で,巻きヒゲによって絡みつきながら伸長します。花は白色,花冠は五裂し,裂片の縁は糸状になっています。夏の夕方から咲き出し,朝には萎んでしまう一日花です。果実は広楕円形で黄色く熟します。
和名は果実が黄色いカラスウリという意味。カラスウリとはいえ,小鳥が中味をついばんでいる光景は目にするものの,カラスが食べる姿は見受けないようです。同じ科にスズメの卵ほどに丸い果実をつけるスズメウリというのがあります。では,果実が大きいからカラスウリなのでしょうか。
薬用には根を用います。生薬名をカロコン(か楼根)といい,解熱や鎮咳などを目的に用いられます。
根に含まれるデンプンは吸湿性が高く,かつて「天花(瓜)粉」の名でベビーパウダーとして利用されていました。江戸時代の代表的な育児書である香月牛山の「小児必用養育草」(1703)によると,当時,あせも予防にはキカラスウリの他,クズなどのデンプン,牡蠣の殻の粉末などが利用されたようです。しかし,これらは,天然素材故に高温多湿の夏には虫などが発生しやすく,衛生面で問題がありました。明治時代に入ると,局所保護作用をもつタルク(含水ケイ酸アルミニウム)などの鉱物質を主成分とした素材に改良され,現在に至っています。(磯田 進)
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