社団法人日本薬学会 The Pharmaceutical Society of Japan 日本語 English
サイト内検索 byGoogle

今月の薬草
ウンシュウミカン
Citrus unshiu MARKOVICH ( ミカン科 )
ウンシュウミカン Citrus unshiu MARKOVICH (ミカン科)花 ウンシュウミカン Citrus unshiu MARKOVICH (ミカン科)果実
果実
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本の関東以南の暖地で栽培されている常緑の小高木。花は白色で初夏に咲き,爽やかな芳香があります。果実は扁球状で果皮は精油を含み,果肉は多汁質で初冬に黄熟します。
 和名のミカンは,柚柑または蜜柑からの転訛といわれています。ウンシュウは柑橘の名産地であった中国浙江省温州に因む命名ですが,現在は日本原産種と推定され,一般に鹿児島県原産とされることが多い。とても甘く美味しいにも関わらず,種子ができにくいことから,江戸時代は子宝に恵まれないことに通ずるとして忌み嫌われ,全国的に普及したのは明治に入ってからです。薬用には成熟した果皮を芳香性健胃薬として用い,生薬名をチンピ (陳皮) といいます。またとても香りが良いことから,乾燥し布の袋に入れて入浴剤として利用できます。
 初冬になると,植木屋さんなどで黄色く色づいたウンシュウミカンの鉢植えを目にします。ミカンの仲間は種子を播いても,親株と同じ性質を持たないことが多く,市販の鉢植えや農家が栽培している苗木はすべて接ぎ木によるものです。接ぎ木の台木には一般に寒さや病気に強いカラタチやユズ,それに最近健康食品で話題となっている沖縄産シークワサーなどの実生苗などが利用されますが,その後の生育や果実の品質には台木の種類が微妙に影響するといわれています。またウンシュウミカンやアマナツミカン,グレープフルーツ,レモン,キンカン,カボスなどを接ぎ木し,一株にいろいろな種類の果実を実らせ,地域の話題となっていることもあるようです。(磯田 進)

< 戻る

公益社団法人日本薬学会 (The Pharmaceutical Society of Japan)
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 2-12-15 お問合せ・ご意見はこちらをクリック