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今月の薬草
ゲンノショウコ
Geranium thunbergii SIEB. et ZUCC. ( フウロソウ科 )
ゲンノショウコ Geranium thunbergii SIEB. et ZUCC. (フウロソウ科)花(白) ゲンノショウコ Geranium thunbergii SIEB. et ZUCC. (フウロソウ科)花(赤)
花(白) 花(赤)

ゲンノショウコ Geranium thunbergii SIEB. et ZUCC. (フウロソウ科)果実
果実
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本各地の原野に生育する多年生草本植物です。夏から秋にかけて白色から紅紫色の花をつけます。東日本では白色から淡紅色,西日本では淡紅色から紅紫色の株が多いようです。果実は長いくちばし状となり,熟すと下部から5つに開裂し,丸い種子をはじき飛ばします。
 和名は,薬用効果が確実に現れることから「現の証拠」なのだそうです。また弾けた後の果実の形が,御輿の屋根に飾られる装飾品に似ていることから,ミコシグサの別名もあります。薬用には,地上部を乾燥したものが止瀉薬として用いられます。生薬名もゲンノショウコといい,開花期直前で葉の多いものが良品とされています。
 同じ科に属するゼラニウムは,江戸時代末期にオランダより渡来した園芸植物で,比較的寒さに強く,花の咲く期間が長いために世界中で親しまれています。当初はテンジクアオイ (天竺葵) と呼ばれ,ゲンノショウコと同じゼラニウム属に分類されていましたが,その後,花の形態が違うことからゼラニウム属と分けてテンジクアオイ属 (Pelargonium属) として分類されるようになりました。しかし,すでに園芸植物ゼラニウムとして親しまれていたために学問的な位置付けとは関係なく,旧名のゼラニウム(英名)がそのまままかり通っているのです。ちなみに,ゼラニウムには鶴の意味があります。細長い果実を鶴のくちばしに見立てたのでしょう。(磯田 進)

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