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アサガオ
Pharbitis nil CHOISY
(
ヒルガオ科
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花
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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熱帯アジア原産の1年生草本植物です。奈良時代後期から平安時代初期に中国から薬草として渡来したようです。茎は蔓性で,長さは2メートル以上にもなります。花は漏斗状で,早朝より咲き出し,日が昇る午前中には萎んでしまいます。このことが和名「アサガオ」の由来なのでしょう。果実はほぼ球形で先端がやや尖り,種子は灰赤褐色から黒色です。
種子は,生薬名をケンゴシ(牽牛子)といい,下剤として用いられていました。しかし,作用がとても激しいので,現在では薬用としてほとんど用いられていないようです。しかし,生薬名は,アサガオ種子をくれた医者への謝礼として飼っていた牛を牽いて行った故事にちなむといわれています。当時は牛をお礼に差し出すほど貴重な薬であったのでしょうか。
「アサガオ」は山上憶良が詠んだ「秋の七草」にありますが,これはキキョウであったとの説が有力です。歌は野に咲く花を詠んだものですが,万葉集の頃,アサガオはまだ渡来してはいなかったようです。
渡来当時の花はとても小さく,薬園で栽培されていただけでした。観賞用として栽培されるようになったのは江戸時代以降のことです。はじめは淡青紫色のみだった花色もやがて多彩となり,さらには模様や斑入り,漏斗状の花冠や葉の形など,変化に富む品種が数多く出現し,栽培は大流行しました。最盛期の種類は数え上げることさえ困難だといわれていましたが,その後次第に衰え,いまでは数多かった品種もかなり少なくなってしまいました。しかし,東京の入谷をはじめ各地で開かれる朝顔市はまだまだ盛んなようですね。(磯田 進)
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