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今月の薬草
ザクロ
Punica granatum LINNE. ( ザクロ科 )
ザクロ Punica granatum LINNE. (ザクロ科)花 ザクロ Punica granatum LINNE. (ザクロ科)果実
果実
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 原産地は中近東の乾燥地帯で,各地で栽培されている夏緑広葉樹です。渡来時期は定かでありませんが,平安時代には栽培されていたようです。幹には瘤が多く,花は初夏に咲きます。花びらは縮れ,萼は筒状で厚く,多くは朱赤色です。中には淡紅色から白黄色の品種もあります。球形の果実は,萼片が王冠の形で残存し,秋に熟して開裂します。種子の外種皮はゼリー状で多汁質,汁液には酸味と甘味があります。内種皮は木質化しています。
 和名は漢名の石榴の音読みです。薬用に用いられるのは果皮や根皮で,生薬名をそれぞれセキリュウヒ (石榴皮),セキリュウコンピ (石榴根皮) といい,条虫駆除薬とされます。しかし,作用が激しいために医師や薬剤師などの専門家の指示によって用いられていました。幸い,衛生状態が非常にいい現在では,駆虫薬は死語になった感があります。
 原産地の中近東ではブドウとともに古くから栽培され,高貴な果物として古くから尊ばれてきました。日本では,酸味が強いためか,人気は今一つのようです。時折,庭に植えられた木を見かけますが,果樹というより観賞用の花木なのでしょう。秋になっても,果実は木にぶら下がったままです。
 近年,甘味が強く,大きなアメリカ産や南ヨーロッパ産のものが青果店に並ぶようになりました。中には,内種皮が木質化せず,種子まで食べられるものも売られております。(磯田 進)

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