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今月の薬草
リンドウ
Gentiana scabra BUNGE var.buergeri MAXIM. ( リンドウ科 )
リンドウ Gentiana scabra BUNGE var.buergeri MAXIM. (リンドウ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本各地に分布し,日当たりのよい草原などに生育している多年生草本植物です。秋に咲く青紫色の花は,日が当たると開き,曇天や夜間は閉じています。
 和名は漢名の龍胆を音読みし,その後に発音が訛ったものです。その語源の一つに,中国の本草書に葉が龍葵(ナス科のイヌホオズキ)に似て,胆のように苦いことから名づけられたとの説がありますが,リンドウの葉はイヌホオズキにさほど似ているようには思えません。語源は,その苦さが,中国に伝わる想像上の動物である龍の胆に例えたという説が妥当だと思われます。
 薬用には根や根茎を用います。生薬名をリュウタン(龍胆)といい,尿路疾患を目的とした漢方処方に配剤されているほか,苦味健胃薬として用います。
 普段は何気なく見ていたので気になりませんでしたが,ある日,我が家に生けられたトルコギキョウを見て驚きました。植物名から今まではキキョウ科の植物だと思っていましたが,よく観察すると雌しべの先端部分が二つに割れ,種子のできる子房は花の中にありました。明らかにキキョウ科の特徴とは異なっています。キキョウ科は雌しべの先端部分が3から5裂し,子房は花の下側にあります。調べてみると,トルコギキョウはリンドウ科に属し,北アメリカ原産で昭和初期に導入されたとのことです。最近の園芸植物の名称は,民俗や文化の背景を無視して,売るためだけに客受けするネーミングが先行する傾向にあるようです。(磯田 進)

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