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今月の薬草
ハッカ
Mentha arvensis L.var.piperascens MALINV. ( シソ科 )
ハッカ Mentha arvensis L.var.piperascens MALINV. (シソ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本から中国,ロシアにかけて分布し,日当たりのよい,やや湿り気のあるところに生育します。日本には古い時代に中国より渡来したといわれていますが,年代は定かではありません。株全体に芳香があり,夏から秋にかけて白色から淡紅色の小さな花をつけます。
 和名は漢名の薄荷を音読みしたものです。薬用には地上部を用い,生薬名もハッカ(薄荷)といいます。芳香性健胃薬で,漢方では精神神経用薬や消炎排膿薬を目的とした処方に配剤されます。
 最近のハーブブームに伴ってハッカを栽培する方が多くなりましたが,多くは在来種ではなく,主にヨーロッパから持ち込まれた「ミント類」です。これらのミント類は,古代エジプトやローマ時代から利用されてきたためにペパーミントやスペアミントなど数多くの交配種が含まれます。中にはリンゴやレモン,ラベンダーに似た香りをもつものまで,その種類はさらに増えつつあります。ハッカやミント類は同じ場所で栽培し続けると生育が悪くなる「いや地」現象が現れ,しばしば絶えてしまいます。数年に一度,栽培場所を替えたり,プランターの土を新しいものと交換すると,再び旺盛に生育するようになります。
在来種はメントール含量が多く,かつてはメントールやハッカ油は我が国の重要な輸出品でした。しかし,近年,天然のメントールは合成品にその座を追われましたし,在来種はその芳香がミント類に比べて直接的でやや強いことから,ハーブブームから取り残されてしまいました。(磯田 進)

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