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オオバコ
Plantago asiatica L.
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オオバコ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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東アジア各地に分布し,原野や路傍に生育する多年生草本植物です。葉は卵形から広卵形で多数根生します。花は小さく,葉間から生じた花茎に穂状につけます。さく果は卵状長楕円形,種子は楕円形で小さく,黒褐色に熟します。
和名は大葉子の意味があり,広い大きな葉の形に由来します。また学名の Plantago も大きな葉に由来し,足跡や足の裏という意味があるのです。ちなみに,イギリスでは,オオバコの仲間をキリストの足跡と呼んでいるそうです。薬用には開花期の全草や種子を用います。生薬名はそれぞれシャゼンソウ(車前草)およびシャゼンシ(車前子)といい,ともに利尿薬や去たん薬とします。生薬名の車前の由来は,種子は水気を帯びると膨潤し,粘着性を帯び人間などに付着して広がり,馬車や牛車などが行き交う以前から路傍に生育していたことにあるようです。
花は雄しべと雌しべが同時に成熟しますが,中には雌雄どちらかが先に熟し,同じ花では受粉しない仕組みになっている種類もあります。これらの仕組みは,近親交雑を極力避け,遺伝的に多様な形質を受け継いだ子孫を残すための自然界の妙技といえるでしょう。
オオバコの花穂をルーペで観察しますと,雌しべが先に熟し,雄しべはその後を追うように熟しているのがわかります。このように雌しべが先に熟す花としては,モクレンやキンポウゲなどがあります。一方,草原を彩るキキョウやヤナギランなどは,反対に雄しべが先に熟します。また,オオバコの花は昆虫の助けを借りて受粉する虫媒花ではなく,キク科のヨモギや裸子植物のイチョウやスギなどと同じように風媒花としても知られています。このため花には,昆虫を誘惑するための花弁がありません。(磯田 進)
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