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キハダ
Phellodendron amurense RUPR.
(
ミカン科
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花
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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東アジアに分布し,やや湿り気のある山地に生育する落葉高木で,雌雄異株。花は黄緑色で5月から6月にかけて咲き,果実は球形で黒く熟します。
和名は樹皮が黄色(黄肌)であることに由来します。生薬名はキハダ(黄柏)で,幹のコルク層を取り除いた黄色の樹皮を用います。古くから胃腸薬(苦味 健胃薬・止瀉薬)とされ,漢方では消炎・殺菌を目的に配剤されます。よく知られる奈良県吉野地方の「陀羅尼助」,信州の「百草」,山陰・北陸の「煉り熊」などは,いわゆるオウバク製剤です。
昔,お坊さんは「陀羅尼」なるお経を読むとき,よく睡魔に襲われたそうです。たまたまこの薬を口に含んだところ,あまりの苦さに眠気が吹き飛んでしまいました。以来,「陀羅尼」を読むときには必ずこの薬を用いるようになったとか。これが「陀羅尼助」の語源なのだそうです。
昆虫類は植物に含まれている微量の成分を嗅ぎ分け,自分の食草を見分ける能力を持っています。キハダの近くではアゲハチョウが舞っているのをよく目にします。キハダの葉に産卵するためです。ふ化した幼虫はキハダなどミカン科植物の葉を食べて成長し,やがて脱皮を繰り返して成虫になります。一方,同じ仲間でやや黄色味の濃いキアゲハの食草はニンジンなどのセリ科植物で,ミカン科植物には決して産卵しません。(磯田 進)
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