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今月の薬草
ダイダイ
Citrus aurantium L. var. daidai MAKINO ( ミカン科 )
ダイダイ Citrus aurantium L. var. daidai MAKINO (ミカン科)果実
果実
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 インドヒマラヤ原産の常緑小高木。中国を経て渡来し,各地で栽培されています。花は初夏に咲き,さわやかな芳香があります。果実は球形で大きく,果皮はやや厚く,果肉には酸味があります。
 和名は,同一株に今年の果実だけでなく前年のも付いているのを「代々」と語呂を合わせたのでしょう。子孫が代々繁栄するようにとの願いを込めた縁起物として,ダイダイはお正月に飾る鏡餅や注連縄(しめなわ)に添えられます。
 薬用には未熟な果実,または成熟した果実の皮(果皮)を用い,それぞれの生薬名はキジツ(枳実)およびトウヒ(橙皮)といい,共に芳香性健胃薬として用いられます。
 ダイダイはヨーロッパでサワーオレンジと呼ばれ,香りのいい花から採取されたネロリ油(橙花油)は香水やオーディコロンの原料として利用されています。サワーオレンジはスペインなどで栽培されていますが,果実の採取より,ネロリ油の採取が目的だそうです。皆さんが愛用している香水やオーディコロン,この中にネロリ油が含まれているかもしれませんね。果実はマーマレードやジュースにして爽やかな酸味とほのかな甘味を堪能できます。
 一方,中国や日本に伝わったものは酸味が強く,また苦味も強いことから生食用には不向きですが,ポン酢として利用しています。ちなみに,ポン酢の語源は,オランダ語の柑橘類の果汁を意味するponsが語源とされています。(磯田 進)

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