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今月の薬草
トウガラシ
Capsicum annuum L. ( ナス科 )
トウガラシ Capsicum annuum L. (ナス科)
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 南アメリカ原産。熱帯地域では多年生低木ですが,気温の低い温帯地域では一年生草本植物です。夏から秋にかけて白い花を付け,果実は紅熟します。トウ ガラシは1493年コロンブスがスペインに持ち帰ったといわれています。日本への渡来については諸説ありますが,1592年秀吉が朝鮮出兵の際に持ち 帰ったとするのが有力です。
 和名は唐の国から渡来した辛い果実の意味ですが,唐は必ずしも中国だけを意味するのではなく,漠然と外国を指すこともあります。ナンバンという別名は,南蛮から伝わった胡椒「南蛮胡椒」の略称です。果実は辛味性健胃薬として用いられ,生薬名をトウガラシまたはバンショウ(蕃椒)といいます。また,皮膚を刺激し,血行を促す作用があり,昔から腰痛や筋肉痛,肩こりなどにも応用されています。
 トウガラシには辛味系と甘味系があります。栄養豊かな野菜として私たちの食卓にのぼるシシトウやピーマンなどは甘味系に属しますが,稀に辛味を感じるものがあります。これは本来トウガラシと同じ植物だからです。ちなみに,辛味系は辛みの強い系統から弱いものまでいろんな種類があります。
 「七味唐辛子」は別名薬研堀ともいわれるように,江戸時代(寛永二年:1625年)に中島徳右衛門が両国の薬研堀(現在の東日本橋)で売り始めたのだそうです。その内容の多くは唐辛子,山椒,胡麻,麻の種子,罌粟の種子,青のり,陳皮などですが,地方によって中身が異なっていてそれぞれに特有の風味を楽しませてくれます。(磯田 進)

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