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今月の薬草
ドクダミ
Houttuynia cordata THUNB. ( ドクダミ科 )
ドクダミ Houttuynia cordata THUNB. (ドクダミ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本から中国,ヒマラヤ,東南アジアにかけての広い地域に分布し,やや湿り気のある林床や日陰地に生育している多年生草本植物です。花は6〜7月頃に咲きますが,穂状につく花はとても小さく,花びらやガクはありません。これらはまるで一つの花のように見えますが,花びらに見えるものは花序の基部につく葉が変化した総苞です。
 和名のドクダミは毒矯め (どくため) の意味があり,その薬効に由来します。薬用には開花期の地上部を用います。生薬名をジュウヤク (十薬) といい,利尿薬や消炎薬として利用します。十薬という生薬名の由来は,馬がかかる十種の病に効果があるという江戸時代の言い伝えによるようです。
 日本では独特の臭いがあるためにあまり好まれませんが,ベトナムではハーブだけでなく,野菜としても利用され,春巻きなどの具に加えられているそうです。日本人の感覚からすると,まさに驚きですね。アジア各国で広く利用されているコリアンダー(コエンドロ)も特有の香りを持ち,日本の食文化では初めは戸惑いがあったようですが,次第に馴染んできたようです。近い将来,日本でもドクダミがハーブや野菜に仲間入りする日がくるかも知れません。
 また,ドクダミは日本では雑草に近い存在ですが,外国では花壇や庭園を彩る園芸植物として活躍しています。海外旅行の際,訪れた国の植物園をご覧になって下さい。花壇の縁取りとしてきれいに植え込まれているドクダミを目にすることでしょう。(磯田 進)

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