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今月の薬草
コウホネ
Nuphar japonicum DC. ( スイレン科 )
コウホネ Nuphar japonicum DC. (スイレン科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 コウホネ (川骨) は日本や朝鮮半島に分布する多年生草本植物で,沼や池などに生育します。花は黄色で初夏から晩夏にかけて咲きます。花びら状に見えるものは萼が変化したもので,花びらは小さく目立ちません。葉は楕円形,根茎は白く太いのが特徴です。和名は,川辺に生育し,白く太い根茎が白骨に見えたのでしょう。薬用部位は根茎で,生薬名はセンコツ
(川骨) です。漢方では打撲・消炎を目標に用いられ,婦人薬にも配剤されます。
 葉はみずみずしく可憐な花を付けるので,古い日本庭園の池に植えられていたり,生け花の花材として利用されていますが,不吉な名称からか,お祝いの場や茶道の世界では使われないようです。
 日本の湿原を代表する尾瀬ヶ原といえば,唱歌に歌われているミズバショウが思い浮かぶのではないでしょうか。白い仏炎苞はさわやかな初夏の湿原を演出しますが,これが終わると尾瀬ヶ原は本格的な夏を迎えます。その頃,湿原を散策すると,ミズバショウほど人目を引きませんが,黄色い花の中心に深紅色のアクセントが印象的なオゼコウホネが咲きはじめます。
 最近の研究によれば,植物生態的な遷移によってその個体数が減少傾向にあるようです。(磯田 進)

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