|
ヤマノイモ
Dioscorea japonica THUNB.
(
ヤマノイモ科
) |
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
|
ヤマノイモは,林縁や疎林に生育する蔓性の多年草で日本の特産種で,ジネンジョとも呼ばれ日本全土に分布します。雌雄異株,雄花序は直立し,雌花序は下垂し,蔓は右巻きです。葉の基部には腋芽が肥大したムカゴがついています。なお,蔓の右巻き・左巻きは,巻き方を上から見るか下から見るかによって違いますが,最近では右ネジ廻り方向に成長するものを右巻きとするようです (朝日新聞社「植物の世界」Vol. 1, 1997)。
和名の語源は,サトイモ (里芋) に対して山に生育するイモという意味です。地下部の担根体は滋養・強壮薬として用いられ,生薬名をサンヤク(山薬)といいます。この担根体は,茎と根の特徴を兼ね備える不思議な器官なのです。
昔から「山の芋が鰻に化ける」という諺があります。植物であるヤマノイモが魚であるウナギに化けるわけではありません。ウナギは湖沼や河川に生息しているはずなのに卵が見つからないので,誰かがウナギは山の芋が変身したといったのでしょう。このような理由から,起こり得ないことが現実に起こったり,物事が予期せぬ方向に変化することを,「山の芋が鰻に化ける」と言い表したということです。ヤマノイモも鰻も滋養・強壮効果があり,ヌルヌルしているという点では共通していますね。ちなみに,精進料理には山の芋を鰻の蒲焼き風に仕立てたメニューがあるそうです。
(磯田 進)
< 戻る
|
|
|