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今月の薬草
ケシ
PPapaver somniferum L ( ケシ科 )
ケシ PPapaver somniferum L (ケシ科)トルコ種 ケシ PPapaver somniferum L (ケシ科)果実
トルコ種 果実

ケシ PPapaver somniferum L (ケシ科)一貫種
一貫種
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 インドを中心とする西アジア原産の二年草。花びらは普通4枚です。中には八重種もあり,ボタンの花に例えてボタンゲシと呼ばれます。花色は多彩で,紅色,紅紫色,白色などが知られています。つぼみは下垂していますが,開くと上を向きます。咲いた当日に花びらが散ってしまう一日花です。
 未熟な果実の表面を傷つけ,滲み出てきた乳液を乾燥したものをアヘン(阿片)といい,有効成分を分離,精製して鎮痛薬や鎮咳薬として利用します。また種子はオウゾクシ(罌粟子)といい,漢方では止寫薬として用います。栽培や所持に関してはあへん法や麻薬および向精神薬取締法で厳しく制限されていますが,種子には麻薬成分が含まれていないので身近な食材としてよく利用されています。
 小さいことを「芥子粒 (ケシツブ) のような」と表現しますが,アンパンの上面に塗してある細かいツブはケシの種子です。また,七味唐辛子は和食の薬味として,無くてはならないものです。この中にも栄養豊かな脂肪油源として,また風味付けのために芥子粒が配合されています。その他,砂糖菓子の金平糖は,オランダから渡来したもので,最初はケシの種子を核にして作られていましたが,最近では餅米を細かく砕いたイラ粉を核として造られているそうです。
 このようにケシは,恐ろしい麻薬の面が強調されてはいますが,重要な医薬品であり,私たちの食生活に潤いを与える食材としても活躍しています。(磯田 進)

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