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ゴシュユ
Evodia rutaecarpa BENTHAM
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ミカン科
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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中国原産,雌雄異株の落葉低木。享保年間(1720年頃)に,小石川療養所内の薬園に導入されました。その後,株分けされた苗が全国各地に広まりました。日本へは雌株のみが渡来したため,種子は不稔性で発芽能力はありません。果実には特有の匂いがあり,味はとても辛く,その後苦味を感じます。
和名は漢名の呉茱萸を音読みしたものです。また古名をカラハジカミといいます。これは果実がサンショウ(古名をハジカミ)のように辛く,唐(中国)から輸入していたため名づけられました。薬用には果実を用い,生薬名をゴシュユ(呉茱萸)といい,鎮痛薬や鎮けい薬,婦人薬などを目的とした漢方処方に,また健胃薬として庭薬薬にも配剤されています。
多くの生薬は,新しい方が有効成分の分解が少ないため,薬用効果は高いとされています。しかしこの呉茱萸は,採取直後のものを用いますと,希ですが嘔吐などの副作用を発現することもあります。したがって,1年以上経過した,古い生薬が良品といわれています。
多くの樹木の冬芽は,鱗片で覆われ寒さをしのいでいます。ところがこのゴシュユは,裸芽といって鱗片ありません。小さく縮こまった葉に茶褐色の短い毛をまとって,冬の寒さに耐えている様子を観察できます。
(磯田 進)
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