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関節リウマチ

 

rheumatoid arthritis, RA

 関節リウマチは,多発性関節炎を主体とする進行性の慢性全身性自己免疫疾患である。関節滑膜に炎症が生じ,次第に滑膜から軟骨,骨へと波及し,やがて関節自体を破壊し,関節変形をもたらす。その結果,日常生活動作が障害され,時に生命予後を悪化させることもある。遺伝素因に内分泌の異常,微生物感染などの環境因子が加わり,さらに免疫異常,自己免疫を含めた複雑な要素により病態が形成される。

 人口の0.8%の頻度で認められ,わが国では80万人程度の患者が存在すると考えられている。20-40歳代の女性に多いが,最近では65歳以上の高齢者の発症も多くなって来ている。  関節リウマチでは滑膜微小血管に障害が起こり,滑膜組織に好中球,マクロファージ,T細胞B細胞が集積する。これらの細胞から炎症を惹起する腫瘍壊死因子α (TNFα)やインターロイキン1(IL-1),インターロイキン6(IL-6)などのサイトカインが産生され,滑膜細胞は増殖しパンヌス(炎症性に増殖した滑膜組織)を形成し,関節破壊がおこる。IgGとリウマトイド因子からなる免疫複合体も組織障害の一因となる。最近,滑膜細胞の異常増殖にかかわる因子としてシノビオリン(synoviolin)と呼ばれる酵素が注目されている。

 治療には,抗炎症薬(非ステロイドステロイド),抗リウマチ薬免疫抑制薬,関節可動域体操,温熱療法,補装具,滑膜切除術,人工関節置換術などを必要に応じて用いる.抗リウマチ剤(DMARDs)は,別名、「疾患修飾抗リウマチ薬」,「遅効性抗リウマチ薬」,「寛解導入薬」などと呼ばれておりリウマチの進行を遅らせる。免疫調整薬と免疫抑制薬および生物学的製剤があるが,鎮痛作用(痛み止めの作用)は無い。従って、効果が現れるには一般的に数週間から数ヶ月の期間を要する。免疫調整薬としては金塩類,免疫抑制薬としてはミゾリビンやメトトレキサート,レフルノミドがある。生物学的製剤には,抗TNFα抗体(インフリマキシブ,アダリムマブ),TNFα可溶化受容体(エタネルセプト),IL-1受容体拮抗薬(アナキンラ),抗IL-6受容体抗体(アトリズマブ)がある。生物学的製剤は他の抗リウマチ薬に比べ,骨破壊の抑制効果が著明である。

 慢性の経過を回避できる例もあることから,日本リウマチ学会で2002年に慢性関節リウマチから関節リウマチに改名された。関節リウマチに血管炎をはじめとする関節外症状を認め,難治性で重篤な臨床症状を伴うものを悪性関節リウマチという。(2006.2.7 掲載) (2009.8.12 改訂)


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