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糖尿病

 

   インスリン分泌の絶対的または相対的な障害とインスリン作用の障害の両者,または一方が原因で生じる高血糖を特徴とする症候群。WHOによると、2006年には世界で1億7,100万人の糖尿病患者が推定され、さらにこの数は増加傾向にあるという。わが国の患者数は「強く疑われる」「可能性が否定できない」ものを含め2、000万人に及ぶと推定されている.口渇,多飲,多尿,体重減少などが典型的な症状とされるが,大多数の症例ではほとんど自覚症状がない.

 糖尿病という病名からわかるように尿中に糖が検出される場合もあるが、尿糖値よりは血糖値のほうが、診断ならびに病態の進行とのかかわりで重要である。(1)随時血糖値 ≧ 200 mg/dl、(2) 空腹時血漿血糖値(FPG) ≧ 126 mg/dl (絶食時間は最低8時間)、(3) 75 g 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間後血漿血糖値 ≧ 200 mg/dlの3項目のいずれかを満たす場合が「糖尿病型」、(4) 空腹時血糖値 ≦ 110 mg/dlおよび (5) 75 g 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間後血漿血糖値 ≦ 140 mg/dlを「正常型」とする.翌日以降の再検査で、「糖尿病型」の条件を満たした場合、あるいは一回の検査が「糖尿病型」で且つ①糖尿病野典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)、②ヘモグロビンA1cHbA1c)値 ≧ 6.5% ③糖尿病網膜症がある、④過去に「糖尿病型」を示したデータがある、のうちのひとつの条件を満たす場合に糖尿病と診断される。

 糖尿病はその原因によって,インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が何らかの理由で破壊されインスリンが分泌されない1型糖尿病インスリン分泌量が低下あるいは標的細胞インスリン感受性の低下した2型糖尿病に分類される.1型は,主に幼児から15歳以下の小児期に比較的急激に発症することが多く(若年型糖尿病),糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を発症することがある。食事療法や運動療法のほかインスリン注射が欠かせない.インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)としても知られる2型糖尿病遺伝的要因のほか,過食,運動不足,ストレス,飲酒などが誘因とされる生活習慣病であり,40歳以降に発症することが多い. 日本人の糖尿病の約90%は2型である.高血糖の状態が放置されると神経障害(末梢神経障害),網膜症,腎症のほか脳梗塞,狭心症心筋梗塞糖尿病性壊疽,感染症などを合併することがある.

 治療薬としては、インスリンのほかに、ブドウ糖によるインスリン分泌を促進するGLP-1(glucogan-like peptide-1)アナログ、経口抗糖尿病薬がある。経口口糖尿病薬にはインスリン抵抗性改善薬(メトホルミン、チアゾリジン系)、インスリン分泌促進薬(スルホニル尿素、速効インスリン分泌促進薬)、糖吸収遅延薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)、GLP-1の分解を抑制するDPP-IV阻害薬(Dipeptidyl peptidase-IV阻害薬)がある。(2005.10.25 掲載) (2009.11.6 改訂)


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