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水銀

 

mercury

Hg,原子番号80,原子量200.59.液状のただ一つの金属.硝酸に溶け塩酸に溶けない.油脂と研磨,撹拌すれば容易にコロイド状に分散し,灰黒色のエマルジョンをつくる.常温でナトリウム,カリウム,金,銀そのほか多くの金属とアマルガムをつくるが,鉄,コバルト,ニッケルなどとはアマルガムをつくらない.工業用として寒暖計,気圧計理化学機械,水銀ランプ,整流器,医薬品として水銀軟膏,また歯科用アマルガム(充てん剤)などに用いる.中毒で問題となるのは塩化水銀(II)(昇汞)や有機水銀である.毒性は,ガス体として吸収されるか,粉末状で皮膚に付着したときに強く現れる.水銀化合物のなかで,水および希塩酸に溶けるものは一般に猛毒で,水に溶けないものほど毒性が弱い.急性中毒では,胃痛,嘔吐,貧尿の後,著明な腎障害,尿閉塞を起す.また,流涎,口や歯茎の腫れを起す.重症では非常に疲労感が強く,頻脈の後,虚脱に陥り,服用後数時間で死亡する場合もある.有機水銀は無機水銀よりも毒性が強く,中枢神経系,特に脳神経障害を起し,歩行・起立不能,四肢運動麻痺,言語障害,難聴,視野縮小,神経障害などにより死亡する.水銀が関係した公害病としては,熊本の水俣病が有名である.また、新潟の阿賀野川流域でも水俣病の発生が確認された(第二水俣病).


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