simple diffusion
膜をはさむ両側の物質の濃度に差が存在するとき,その化学ポテンシャルの勾配に従って物質が移動すること。薬物の吸収など膜透過の多くがこの輸送による。特徴として,細胞のエネルギー代謝に依存せず,物質間に相互作用がない場合,共存する物質により影響されない。
生体膜透過の際には,生体膜が親油性であるため,生体膜への分配が高い物質では透過速度が大きいが,親水性の高い物質は生体膜へ分配しにくいため,ほとんど透過しない。また,膜中では分子量が小さい物質ほど拡散が速く,透過しやすい。生体膜と相互作用のあるものは,親油性や分子量から予想されるよりも透過が遅くなることがある。 (2008.4.14 掲載)