病原微生物に対して殺菌作用、あるいは発育抑制作用(静菌作用)を持つ化合物や、抗がん、抗腫瘍活性を持つ化合物のうち化学的に合成されたものを化学療法薬という。同様の作用を有し、微生物が産生するものは抗生物質と呼ばれている。微生物由来の化合物の合成類縁体も抗生物質に含まれる。
代表的な感染症の化学療法薬としては、その骨格に基づきサルファ剤、キノロン剤、アゾール剤などがある。
また、がんの化学療法薬には、DNA合成あるいは何らかのDNAの働きに作用するものが多い。アルキル化剤 (シクロホスファミドなど)、白金製剤(シスプラチンなど)、代謝拮抗剤 (5-フルオロウラシル)、植物アルカロイド (ビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセルなど)がある。また最近は、分子標的薬としてチロシンキナーゼを標的とするイマチニブ(グリベック) やゲフィニチブ、モノクローナル抗体医薬であるリツキシマブやトラズツマブ(ハーセプチン)が出てきており、広い意味での化学療法剤と捉えられている。(2007.10.23 掲載)