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不整脈

 

arrhythmia

 心臓の刺激生成あるいは刺激伝導の異常によって、心臓のリズム(洞調律)が正常でない状態。期外収縮、頻脈性不整脈と徐脈性不整脈に分類される。心筋の収縮は、刺激伝導系を介して伝わった興奮(活動電位の発生)によって起こる。活動電位は右心房にある洞結節(SA node)で発生し、心房を介し右心房の下方にある房室結節へと伝わる。更に興奮は房室結節からHis束、プルキンエ(Purkinje)線維へと伝導し、心筋全体へと電気刺激が伝わっていく。刺激生成あるいは伝導経路のどこかが障害され、心臓の興奮が正常に伝わらない状態が不整脈である。ヒトの安静時の脈拍は通常50~100拍/分程度であり、これ以下を徐脈、多い場合を頻脈と呼ぶ。頻脈性不整脈は、運動、精神的ストレス、過度の飲酒、喫煙、かぜや枯草熱の治療薬など刺激物質を含む薬などによって誘発される。徐脈性不整脈は、迷走神経を過度に刺激するような痛み、空腹、疲労、下痢嘔吐などの消化器系障害、嚥下などによって誘発される。多くの場合、このような不整脈は自然に消失する。期外収縮では、洞結節以外の心房や心室などの場所で期待されるタイミングより早く心筋が興奮・収縮する。

 刺激生成の異常はペースメーカーである洞結節の異常(洞性頻脈、洞性徐脈)とそれ以外の部位から自発興奮が生ずる異所性刺激生成(先行の活動電位が引き金となって発生するtriggered activityなど)がある。活動電位の再分極中から脱文極する早期後脱分極、QT延長症候群におこるTorsades de pointes(トルサード・ド・ポアント)型心室不整脈の原因となる。興奮伝導の異常は伝導の遅延やブロック、興奮の再進入(リエントリー)が主なものである。心筋細胞は興奮が終了すると不応期となり、興奮伝導は1周期ごとに完結する。心筋へは2個以上の伝導路が存在しており、梗塞などにより通常の興奮伝導が障害された場合には、別経路からの逆方向伝導が起こる。リエントリーモデルではこれが不応期の直後に起こるため不整脈となる。不整脈のうち、頻脈性不整脈抗不整脈薬の治療対象となっている。

 抗不整脈薬にはNaチャネルを阻害するクラスI群(キニジン、ジソピラミド、メキシレチンなど)、アドレナリンβ遮断薬(β ブロッカー)であるクラスII群(プロプラノロール)、Kチャネル遮断薬であるクラスIII群(アミオダロン、ソタロール)、Caチャネル拮抗薬であるクラスIV群(ベラパミル、ジルチアゼム)がある。(2005.12.15 掲載)(2009.1.16 改訂)


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