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ペニシリン

 

penicillin

Flemingにより発見された最初の抗生物質ペニシリンはβ-ラクタム抗生物質であり、真正細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの合成酵素(ペプチドグリカン合成酵素、ペニシリン結合タンパク、PBP)と結合し、その活性を阻害する。この結果ペニシリンが作用した細菌はその分裂に伴って細胞壁は薄くなり、増殖が抑制される(静菌作用)。また細菌は細胞質の浸透圧が動物の体液よりも高いため、細胞壁が薄くなり損なわれた細菌細胞では外液との浸透圧の差から溶菌を起こして死滅する(殺菌作用)。初期のペニシリンはブドウ球菌を代表とするグラム陽性菌、グラム陰性球菌に対しては強い抗菌作用を示したが、大腸菌を代表とするグラム陰性桿菌には無効であった。その後ペニシリンの構造を化学変換し、活性の向上した多くのペニシリン抗生物質が開発された。ペニシリンが用いられるようになると、ペニシリンに対する耐性を新たに獲得したペニシリン耐性菌が出現した。ペニシリン耐性菌は抗生物質の無秩序な濫用が引き金となって拡大し、1960年代にはペニシリン耐性菌の問題が顕現化して医療上の大きな問題になった。一方、ペニシリンはアレルゲンとして働き、アレルギー反応を引き起こしやすく、ペニシリンが引き起こす重篤なアレルギー症状は「ペニシリンショック」と呼ばれる。(2005.10.25 掲載) (2009.8.12 改訂)


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