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ヒ素

 

arsenic

As、原子番号33、原子量74.92.種々の形で存在するが、結晶のものがもっとも安定で、灰色や金属光沢を示す。「毒物及び劇物取締法」の毒物に指定されている。

無機ヒ素化合物には亜ヒ酸(三酸化ヒ素)、ヒ酸、ヒ酸石灰、亜ヒ酸銅、ヒ酸、三塩化ヒ素、硫化ヒ素などがある。自然界の有機ヒ素化合物としてメチル化体やアルセノベタインなどがある。 無機ヒ素化合物では5価よりも3価の方が毒性が強く、特に3価の亜ヒ酸が毒物として問題となる。亜ヒ酸の用途は、砒素薬品の原料、ガラスの脱色剤、歯科医療の亜ヒ酸パスタ、シロアリ駆除などである。

3価のヒ素は粘膜から吸収されやすく、皮膚からも吸収される。吸収されたヒ素はすべての臓器、組織に速やかに分布し、特に肝腎、脾、肺、小腸粘膜に多く分布する。骨、爪、皮膚や毛髪には長期間残留するため、慢性中毒の指標となる。吸収蓄積されたヒ素は極めて緩徐に腎から排泄される。

急性中毒では摂取後、1時間以内に症状が現れる。症状は胃腸型(下痢嘔吐、悪心、腹痛脱水など)と麻痺型(呼吸中枢抑制など)に分類される。大量摂取の場合は激しい胃腸炎を起し、水様または出血性下痢(コレラ様下痢症状)を伴い、体温や血圧が低下する。また神経系の障害、栄養障害を起し、さらに重症の場合は、皮膚潰瘍、黒皮症、角化症、爪の萎縮、黄疸や尿量の減少を起す。亜ヒ酸のおおよその致死量は100~300 mgである。作用機序は酵素内のSH基と結合して、酵素系を阻害することである。(2005.10.25 掲載)(2009.1.16 改訂)(2014.7.更新) )


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