Parkinson's disease
パーキンソン病はジェームズ・パーキンソンが1817年に初めて報告した,振戦,筋固縮,無動,姿勢保持障害を4大主徴とした進行性神経変性疾患.中脳黒質の変性によりドーパミンの産生が低下するために神経系の機能障害が起ることは分かっているが,黒質の変性の原因は不明である.発症にほとんど性差はなく,わが国では10万人に50~100人,50代後半の発症が多い.初発症状は手足のこわばり,ふるえ,歩行障害であり,日常のすべての動作が遅くなり、表情が乏しく,声が小さく聞き取りにくくなり,次第に転びやすくなる。これらの症状があって、それがパーキンソン病薬の服用により著しく改善されることでパーキンソン病と診断される。
薬物療法の中心はL-ドーパとドーパミンアゴニストである。L-ドーパはドーパミンの前駆物質であり,パーキンソン病のほとんどの症状に対して劇的な効果があるが,効果の持続する時間が比較的短く,また,数年服用し続けると作用時間がさらに短くなる,一日の中で体の動きの良いとき悪いときの差が大きくなる,体が自分の意志に反して動いたりこわばったりする(ジスキネジー、ジストニー)などの問題が起こる。そのため、最近はドーパミンアゴニストを用いる。ドーパミンアゴニストはL-ドーパと比べると作用時間が長く、症状の日内変動を軽減できる。 現在は、早期で症状の軽いパーキンソン病ではドーパミンアゴニストを先ず使用し、充分な治療効果を得られればそれだけで治療を継続し、もし不充分であればL-ドーパ合剤を少な目に併用するという治療法が主流となっている。(2005.10.25 掲載)(2009.11.13 改訂)
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筋固縮,[[振戦]],寡動,姿勢・歩行障害を4大主徴とした進行性神経変性疾患.中脳黒質の変性によりドパミンの産生が低下するために神経系の機能障害が起る。発症にほとんど性差はなく,わが国では1/2000以上,65歳以上では1/500以上の[[有病率]]であり中年期以降に発症しやすい.発症原因は不明であるが酸化的ストレスや環境毒によって神経変性が起ると考えられている.初発症状は手足のこわばり,ふるえ,歩行障害が多い。筋固縮は頚部と上下肢にみられ、表情の変化が乏しくなり(仮面様顔貌)動作が緩慢になる.[[振戦]]は安静時に起る拇指と示指の間で丸薬を丸めるような規則的な動作(pill-rolling tremor)が特徴的である.前傾前屈姿勢で小刻みに床を擦るように歩く.歩きはじめの一歩が出にくい,いわゆるすくみ足も進行例でみられる.[[痴呆]]やうつ症状の併発がみられることもある.症状は緩徐に進行していき,発症から10~15年後には日常生活が著しく困難となり,寝たきりになってからの全身衰弱,肺炎や尿路感染症などで死亡しやすい.
症状、神経変性の進行自体を止める治療法はまだ開発されていないが、症状を軽減させる薬剤が開発されている。レボドパ(L-dopa)はドパミンの前駆体で、大脳基底核でドパミンに変換されて、ドパミン生産量の低下を補い[[パーキンソン病]]の症状を劇的に改善する。[[副作用]]には、口、顔、腕、脚の不随意運動、悪夢、幻覚、[[血圧]]の変化などがある。レボドパの服用を5年以上続けると、オンオフ現象(薬がよく効いている期間とまったく効いていない期間が急速に入れ替わる)、が半数以上の人に現れる。ドパミン[[作動薬]](プラミペキソールやロピニロールなど)はレボドパほどの効果はないが、レボドパの[[副作用]]によるトラブルの発現を遅らせる効果がある。いずれも病気の初期に使用される。(2005.10.25 掲載)(2009.1.16 改訂)
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