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テトロドトキシン

 

tetrodotoxin

フグ毒の主成分である。アルカリ、強酸溶液中で分解し、熱には安定である。テトロドトキシンの化学構造は、1964年に、津田ら、平田ら、R. B. Woodwardらによって、独立に決定された。神経、骨格筋の電位依存性Naチャネルを選択的に阻害することにより、活動電位の発生を抑制し、興奮伝導をおさえることによる。Kチャネルには影響を与えない。なお、フグのNaチャネルにはテトロドトキシン結合部位が無く、テトロドトキシンは作用しない。テトロドトキシンの中毒症状は、消化管からの吸収が速いために30分から4時間程度で、唇や舌、指先のしびれ、言語障害、運動失調、知覚麻痺が現れ、麻痺が進行すると呼吸麻痺で死亡する。テトロドトキシンの成人の致死量は1~2mgと推定されている。テトロドトキシンは海洋細菌のビブリオ属やシュードモナス属の複数の細菌種が一次生産者であることが知られている。これらの細菌が産生した毒素は、生物濃縮により主にフグの体内に蓄積される。フグ以外にも両生類のカリフォルニアイモリで存在が示され、のちに、ヒョウモンタコ、ツムギハゼ、ある種のカエル、カニ、巻貝など多数の生物中に発見され、自然界に意外に広く分布することが明らかとなった。(2005.10.25 掲載)(2009.8.12 改訂)


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