システム生物学は,生物学に数理計算モデルや統計学的手法を導入し,生命を遺伝子やタンパク質といった各構成要素のネットワークが集合したシステムとして理解しようとする学問である.この方法により,例えばがんやアルツハイマー病の複雑な発症過程を,遺伝子やタンパク質ネットワークの相互作用の変化として理解し,さらにそれらに数理解析を加えることで,最終的には発症過程をシミュレーションすることを目標とする.複雑な生命現象の全体像を解明するためには,従来の分子生物学研究で用いられた還元主義的手法のみでは限界があり,システム生物学は医学研究のみならず,広く生物学の分野で今後必須となる,黎明期にある学問分野である.(2016.02.FYI)