influenza
インフルエンザウイルスによって起る呼吸器感染症で、「五類感染症」に定められている。咳やくしゃみなどの飛沫によって呼吸気道感染し、急に38~40度の高熱がでる特徴がある。 さらに、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状も強く、これらの激しい症状は通常5日間ほど続く。また、気管支炎や肺炎を併発しやすく、重症化すると脳炎や心不全を起こすこともある。乳幼児や高齢者をはじめ、基礎疾患として糖尿病や種々の呼吸器系や循環器系の疾患をもつ患者はハイリスク群とされ、ほかの細菌感染症を併発して肺炎を重症化させ、死亡する危険性が高い。感染は気道の粘膜上皮細胞へのウイルスの吸着と侵入から始まり、細胞内で増殖したのち、再び飛沫によって周辺に感染が拡大する。ウイルスの感染に伴って炎症が起り、上気道から咽頭、気管、気管支にわたって上皮細胞が傷害されるため、重複感染した細菌類が肺に侵入して肺炎を起すようになる。インフルエンザウイルスは、A,B,C型に分類される。変異を起すことによってインフルエンザウイルスは宿主の免疫系による排除を免れ、流行が繰り返される原因となっている。ブタにはヒトに感染するインフルエンザウイルスとトリのウイルスがともに感染するため、両者がブタの体内で再集合体をつくることによってヒトに感染する新型のウイルスが形成されることがある。ウイルスの不活化ワクチンが開発され、ハイリスク群への接種が推奨されている。鳥類のインフルエンザのうち、全身症状などの特に強い病原性を示すものが「高病原性鳥インフルエンザ」とよばれている。鶏、あひる、七面鳥、うずら、等が感染すると、神経症状(首曲がり、元気消失等)、呼吸器症状、 消化器症状(下痢、食欲減退等)等が現れ死亡することがある。(2005.10.25 掲載)(2009.1.16 改訂)