創薬化学のすゝめ
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HOOHOOHOHOHOHHOHHOHOOHOOOOOHHOOOHHOOOHOOHOOH2NMeSO3H'(")"$*+,-.''!0123/!"#$%&'()*+,-!"#$%&'&./,0,)&160%&'3$78$-39$%&'&60%&'3$78$-39$%&'&(")*+))",-23%"*"-&1$*435")'細胞内にはタンパク質分解システム(ユビキチン-プロテアソーム系)が存在し、不要になったタンパク質がリガーゼによって「分解目印」を付与されると、そのタンパク質は分解システムを介して分解されます。標的タンパク質を分解する化合物 ■■■■■■■■■■ ■■■AI創薬とは、AI(人工知能)を活用して医薬品を研究開発することです。創薬プロセスの中で、メディシナルケミストが主として担当する医薬品候補化合物の探索・最適化研究で使われるAIの代表的な技術には、デノボデザインによる新規シード化合物の発掘・創製や、機械学習・深層学習による活性やADMETの予測があります。AIによるデノボデザインでは、現存する活性化合物や標的タンパク質情報から目的とするファーマコフォアに合致する構造を発生させ、合成化学者が容易に考え付かない構造をデザインします。また、AIにより膨大な化合物データを学習してADMETプロファイルを精度よく予測し、大量の合成候補化合物の中から活性・物性の両面で優れた化合物を選択することが可能です。PROTAC(proteolysis targeting chimera)は、「分解目印を付与するリガーゼのリガンド」と「標的タンパク質リガンド」をリンカーを介して連結した化合物であり、両タンパク質を人工的に近接させ、標的タンパク質に分解目印を付与することにより、この分解を誘導します。多くの低分子医薬は標的タンパク質の機能を阻害する薬ですが、これに対してPROTACは標的タンパク質の存在量を減らす特長を有します。また、阻害作用が無い/弱いタンパク質リガンドも利用できるため、過去に創薬したリガンドを再活用できる点も魅力とされています。PROTACは分子量が比較的小さいものも多く、このため従来の低分子創薬のノウハウを活用しながら、PROTACの創薬研究が実施されています。■■■■■■■■AI分野の飛躍的な発展により、産官学共同でLINCなどのコンソーシアムを形成し、AI創薬のインフラ整備も精力的に行われています。現在、AIはメディシナルケミストの意思決定の一部を担い、創薬の効率化・加速化には、AIの活用が必要不可欠になっています。モルヒネやペニシリンのように生物が作り出す化合物(=天然物)が様々な疾患の治療に用いられています。大村智博士は、放線菌の新種から発見した抗寄生虫物質エバーメクチンのジヒドロ誘導体であるイベルメクチンを線虫感染症の新しい治療薬として開発し、この功績により2015年のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。また、天然物の化学構造を改変することにより開発された医薬品も数多く知られています。その創薬研究の過程や薬としての物質供給には有機合成化学が大いに力を発揮します。古くは、柳の成分サリシンをもとにして解熱鎮痛薬として使われているアスピリンが創り出されました。近年開発された抗がん剤のエリブリン(左図)は、クロイソカイメンから発見されたハリコンドリンBという天然物をもとに創られました。本薬剤は分子量826を有していることから、今注目を集めている中分子創薬の好例ともいえるでしょう。HOHOHOHO!"#$%"!"#$%&

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()*+,-./■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■疾患関連タンパク質のポケットに結合する低分子を探索する従来の創薬に加えて、創薬化学が活躍する場は近年、様々な専門領域と融合しながら広がりつつあります。ここでは、創薬の動向や新技術(創薬モダリティ)を紹介します。AI!"#$%&:■■ff ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■ff ■■■■■■■

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